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中国Afterコロナの動向は? 初の大型連休から考える

中国ではすでに「Afterコロナ」に入りつつあるが、その中で迎えたのが5月1日からの労働節。外出規制も解除されて初めて迎える大型連休を、中国の消費者はどのように迎えたのだろうか?

中国の消費回復を考えるうえでも重要だったこの期間を振り返ってみよう。

観光業は完全復帰までやや時間を要するか

今年は5月1日から5日まで、5日間となった「労働節」。多くの都市で天候に恵まれ、観光向きの気候となったが、新型コロナウイルスの影響が払しょくしきれていない中国では、例年とは異なる観光風景があった。

 

5月1日から5日まで、国内旅行を楽しんだ消費者は1.15億人、国内観光収入も475.6億元となった。

2019年の休暇は4日間であったが、旅行人数1.95億人、観光収入1176.7億元であったことを考えると、人数においては昨年の58.97%、収入においては昨年の40.42%に過ぎない。

 

地方の様子も多く報道されている。

 

山東省の名勝である泰山は5月1日のご来光を拝むために、多くの人が詰めかけたが、それ以外の北京の故宮や浙江省杭州市の西湖といった有名な観光地は、昨年の半数程度の人出にとどまっている。

 

こうした状況を見るに、中国では都市封鎖、外出規制が緩和されたとはいえ、観光業はその影響から完全に脱し切れていないようにも感じられる。

 

しかしそれも止むを得ない。中国では峠は越したものの、新型コロナウイルスが完全に消滅したわけではなく、ロシアとの国境地帯である黒竜江省では感染が確認されていた。中国としても第2波、第3波の感染拡大を許すわけにはいかないのである。

 

とはいえ、すでに「勝利宣言」を果たしたからには一刻も早い経済回復を果たしたい中国としては、この長期休暇で国内の消費を喚起し、下半期での本格的な回復につなげたいという思いもある。

そのため観光を認めながらも、人が密集し集団感染を起こしやすい環境、現在の日本でいう3密状態を避けるという非常に難しい選択を強いられ、各観光地ともに厳しい入場制限を課しての解放となったのである。

 

例えば水墨画のような風景が人気の安徽省黄山では、風景区の南門では13500人、北門では1500人といった制限を課し、また四川省の風景区である九塞溝や北京の故宮ではこうした入場制限に加え、オンラインで前日までにチケットを購入した消費者だけが入場できるというシステムを導入。

来場者を抑制しつつ、混乱を避ける手法でこの労働節を「乗り切った」ようだ。

 

中国のメディアでは例年は「どれだけ多くの消費者が旅行を楽しみ、どれだけ多くの消費をしたか」と自国の賑わい、国内消費力の高さを伝えていたが、人出に関しては「来場者数のコントロール、秩序のある観光に成功した」といった見出しが目立つ。

労働節ECキャンペーンの結果は?

では、旅行外の消費はどうだったのだろうか? 注目すべきはやはりEC業界である。

 

5月5日のT-Mall「五五節」においては、昨年の200%増という売り上げの伸びを記録。

特に上海では、同キャンペーンと連結して行われた世界トップブランドの新商品発表イベントの影響によって消費が大きく伸びたことが報じられている。

 

またそのライバルであるJD.comでも労働節キャンペーンを展開。2019年に比べ50%の売上の伸びを見せている。

中でも「除菌」、「健康」に関する商品、家事家電の伸びが顕著だったようで、「除菌機能付き冷蔵庫」の販売数が昨年の80倍、「ベビー用洗濯機」も20倍といった数字が報じられている。

 

外出規制時期から継続して「自宅でできる消費」に関しては、ニーズが衰えていないことを示しており、大手プラットホームではこの勢いを上半期の最大商戦「618」まで続けようとしている。

国内では慎重論も。どうなる中国の「Afterコロナ」

このように、明るい話題、消費復調を伝える内容が多かったが、中国国内でも「Afterコロナ」について慎重な見方をしている識者も少なくない。

 

5月6日付の北京日報では、労働節の消費の模様を伝えつつ、中国人民大学の専門家によるやや慎重な意見と報じている。

 

それによると、期待されているような「報復的消費」、爆発的な消費というのは現在起こっていないという見方を紹介。

その原因として、都市封鎖・外出規制によって多くの企業、工場が活動を停止したことが、消費者の収入減少という状況を招いていることを上げている。

そこに食品価格の上昇といった家計に対するマイナス要素も存在しており、大規模消費に踏み切れないでいるのである。

同時に職場が回復したのちは、その企業としても個人としても「遅れを取り戻す」ために業務を増やし、大きな消費を行う時間的余裕も減っているという。

 

さらには、上記観光地に見られるように、いまだ新型コロナウイルスの脅威、心理的恐怖感がぬぐい切れておらず、人が密集する活動(商業、飲食、娯楽施設の利用)を避ける動きが残っていることも、爆発的な消費を抑制する要因ともなっている。

 

それら無い適用に加え、欧米では一部で外出規制などが緩和されているものの、通常生活に戻るには時間がかかる。

これは海外への輸出型企業にとっては大きな打撃。中国国内の企業が回復していても売り先がない、収入が得られないという状況にも陥りかねない。

 

そうした中で専門家や企業が期待しているのが商品券だ。

中国の決済サービス「Alipay」は労働節の消費報告の中で、同サービスを使って商品券を発行した都市の消費が回復していることを発表している。

 

それによると、昨年の労働節中と比較して消費金額が大きく成長した10都市のうち、7都市が同サービスを通じた商品券を配布していたという。

商品券の配布は3月末ごろから各都市の行政が始めており、AlipayやWeChat Payを利用したデジタル配布が主流。どの地方都市も数億元レベルの商品券を市民に向けて発行していることがニュースでも報道されている。

 

この商品券が完全に回復しきれていない中国の家庭、お財布にの助けになっていることは確かなようだ。

この施策でどこまで消費を喚起できるのか、今年上半期の商戦までを注意深く見ていきたい。