Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol.1
中国ではアイドル文化が花開いており、特にオーディション番組も大ヒット。巨大なマーケットと化している。
その中で「最も大きな中国の変化」と思われるのが「キレイ系男子」の隆盛である。ひと昔前は経済能力向上に力を注いできた中国男子に何があったのか?
オシャレに目覚めた中国男子たちによって拡大を見せるメンズコスメ市場を俯瞰してみよう。
消費市場における男性の立場を向上 拡大するメンズコスメ市場
中国では2019年ごろから男性向け化粧品、すなわちメンズコスメ市場が注目されている。
市場規模の推移を見てみると、全体では4000億元に達するといわれる中国化粧品市場においては、ごくわずかな比率であるものの、2020年には167.2億元と少なからぬ規模にまで成長をしている。
【グラフ】中国メンズコスメの市場規模
この状況は、長く中国市場を観察している身としては、非常に深い興味を覚える。
筆者が上海で生活をしていた90年代末から2010年代半ば、まさに経済発展のさなかにあった中国では、女性のファッション、メイクセンスは向上を続け、現在では日本で中国コスメが輸入されるほどになっている。
それに比べて男性は
そもそも「男性ファッション誌」というような、男性の見た目の参考になるようなメディアも少なく、ビジュアル系バンドや日本のアニメ程度しか参考になるものが無かった時期がある。
またその時期、男性に求められるのは経済力。
中でも不動産投資や自家用車などがステイタスとして認知されており、男性にとっての話題といえばもっぱらこの2つに加えて「起業」などがメインであった。
そのためアパレルなどのファッション消費において言えば、女性をターゲットにした女性経済のほうが注目、開発されてきており、男性市場はやや優先度が下げられていた。
2020年に中国の蘇寧金融研究所の発表した男性消費に関するレポートにおいては「消費市場において男性の価値は犬(ペット)より低いといわれていた」と、過去の状況を語っている。
それが近年、大きく変化しているのである。
抖音の運営元でもあるバイトダンス社のデータ研究企業「オーシャンエンジン(巨量算数)」では、2020年末のレポートで男性コスメへの関心向上を伝えている(『2020中国男士美粧洞察』)。
2020年第3四半期において、抖音の男性ユーザーのコスメ関連内容再生数は、スキンケアで前年同期比58%の増加。
さらにメイクアップにおいても12%増とプラス成長を見せており、抖音を活用する若い世代、いわゆるZ世代を中心に男性のコスメへの関心度合いが上昇している。
またQuestMobileの調査では2021年4月、コスメ系KOLをフォローしている男性月平均アクティブユーザーは1.8億人。その25.5%を25歳~35歳の若者世代が占めているとの発表もある。
つまり、明らかに男性が身だしなみとしてのコスメに注目している様子が見て取れるのである。
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