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【Topics】前半戦が終わったダブルイレブンの状況は?また新たなマーケティングレギュレーションも

中国最大の商戦・ダブルイレブンも前半戦の山場を越えた。昨年以降、いろいろな変化が訪れているこの商戦だが、まずは速報値で現状を把握しておこう。

また、10月の末には中国市場におけるマーケティング活動に関して重要な発表がなされている。

相変わらず動きを見せている中国マーケティングから気になる2トピックスを見てみよう。

ダブルイレブン前半戦終了。現状把握と見どころは?

中国最大商戦であるダブルイレブンが山場の一つを越えた。

11月1日で予約期が終了し、これから11日までの商戦期間はあるが、売上の大半が集中する予約期を越えたことで、おおよその状況が見えてきたのではないだろうか。

 

中国のECを含めた小売動向を伝えるメディア「億邦動力(ebrun.com)」では、Nintのデータを基に、2022年10月24日20:00から30日24:00までのT-Mallにおける人気ブランドランキングを公表している。


▼参考記事
天猫双11预售成绩出炉:美妆六品牌破10亿 家电品类显增


スキンケアにおいては、やはりLoreal、Lancome、Estee Lauderの3トップは相変わらず、中国系ではWinona、PROYA、日本勢では資生堂が618に引き続いてランクインしている。

メイクアップでは欧米勢の巻き返しが強く、YSL、M.A.C、Estee Lauderが上位に。中国系のリーディングブランドであった「完美日記(PerfectDiary)」はランキング外に下がっている様子である。

 

注目されたのはメンズアパレル、レディスアパレルで大きな位置を占めていたUNIQLOが順位を下げている点である。

上海などではオフライン店舗の閉店などが伝えられている同ブランドではあるが、同時に抖音電商に出店するなど、新たなチャネルの開拓にも積極的。

ダブルイレブン終了時の状況が気になるところである。

 

また気になると言えば、ライブコマース市場の行方である。

 

今年はライブコマース市場に動きがあった。

李佳琦の復帰ももちろんだが、トップライバーがTaobao Liveと抖音ライブをかけ持つという状況。

同時に、WeChatの「視頻号(ショートビデオアカウント)」においてもダブルイレブン参入があり、実質的にはTaobao Live、抖音ライブ、快手ライブ、そしてWeChatライブの四つ巴のライブコマースが展開されていることになっている。

 

前回述べたように、単純にライバーとプラットホームをセットにして考える次代から、掛け合わせで考える次代へ。

さらにプラットホームの複雑化によって、戦術的には極めて複雑化していると言えるだろう。

中国での代言人活用管理をより強めるレギュレーション

中国では10月31日、市場監督管理総局を含む『有名人・アイドルの広告代言の規範化のより一歩促進に関する意見』が出された。

 

<全文はこちら>

『市场监管总局、中央网信办、文化和旅游部、广电总局、银保监会、证监会、国家电影局   关于进一步规范明星广告代言活动的指导意见』

 

同「意見」は近年、代言人広告における違法行為、虚偽広告、不良情報の拡散、トラフィック重視、不行跡アイドルの起用などが増えているとし、より一歩の管理監督を必要とするという判断のもと出されたものである。

 

注意点としては、この『意見』の対象となる「明星」と呼ばれる存在には「著名人」、「芸能人(アイドル)」のほか「網絡紅人(いわゆるKOL、インフルエンサー、トップライバー)」が含まれるという点である。

 

以前のレギュレーションでも、ライバーは広告法における代言人と見なすという一文が見られ、ライバーに対してもアイドルの代言人同様に規制の対象となることが改めて強調された形だ。

 

その概要を意訳すると、以下のようになる。

 

1.代言人はより規範ある広告宣伝、情報発信を心がける。国の威信を傷つける、綱紀良俗を犯さない、差別などを助長しない、拝金・奢侈・愉楽至上的概念を散布しない

2.代言人は商品に関する正しい知識を把握し、また企業の資質についても確認し、商品の説明書と台本などを照らし合わせるなど、消費者の権益保護に努める。

3.禁止されている商品やサービス(タバコ、塾、医薬品、保健食品など)の代言はしない。

4.企業は代言人に対して正しい商品情報を提供しなければいけない。

5.企業は代言人として起用する芸能人・アイドル・KOLなどに関して、不行跡がないかなどの状況を確認したうえで起用を決めなければならない。

6.10歳未満の子供を代言人に起用してはいけない

7.メディア(プラットホーム)は投稿されている広告を適時管理監督しなくてはいけない。

8.ライブに関しても同様。特に不行跡を犯したライバーなどがバラエティ番組に参加するなどの形を変えた広告活動も注意すること。

9.芸能人・KOLに対しては、その活動中に商品などが登場し推薦する言動があった場合は原則として「代言人活動」と見なす(ただし、勝手に名前を使われた場合は含まない)。

10.代言人活動を行う場合は必ずその商品やサービスを実際に使用していなくてはならず、日常生活において一定以上の使用が分かるようにしなくてはならない。

 

などである。

 

特に日本企業が注意すべきは、「代言人の素行」に対しても確認義務が求められるという点であるだろう。

これまでも、企業側の誇大広告や虚偽広告に関しては代言人も責任を負うようになっていたが、企業側も代言人として起用しているアイドル、ライバーの素行に対して一定の保証をしていなければいけなくなる。

 

また虚偽広告などで罰則を受けた人物は、その処分から3年間は代言人起用をすることができないと定められており、起用するライバーの過去の状況を確認しなければいけなくなる。

 

単純に「このライバーはアサイン可能です」という単純な判断ではなく、どういったライバーなのか、過去に何をやっているのか、どういった言動があったのかなど、より注意深く判断する必要があるだろう。