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【事例で学ぶ!中国プロモーション】ストーリーで訴求!新入社員のストレスをシャワージェルで洗い流す

中国人の欲しいもの! ECに置くだけではだめなんです。

中間所得層が拡大している中国での消費の盛り上がりは、とどまるところを知りません。先日は父の日と日にちを同じくして、複数のECモールで「618」セールが開催されました。このセールの本家である京東(JD.COM)は、セール期間の18日間の売り上げについて1,199億元(約1兆9784億円)となったことを発表しました。もともと、京東の創業祭として始まったセールでしたが、今や天猫(Tmall)やAmazonもこのECセールを開催しています。

セールの売り上げの数字には中国の膨大な消費意欲が表れていますが、今は商品をECサイトに置くだけでは中国人消費者には選び取ってもらえない時代です。中国では今「消費昇級」の時代を迎え、「消費」は必要最低限の需要を満たすための行為ではなく、「生活やこころの豊かさ」を実現するための行為となっているからです。特に教育、娯楽、文化、交通、通信、医療保険、住宅、旅行と言った方面での消費が拡大しているそうです。

では、並べるだけでは売れない時代、どのように表現すれば商品の魅力を中国人消費者の心に響かせることができるのでしょうか? 事例から探るべく、【事例で学ぶ!中国プロモーション】と銘打ち現地でのプロモーション事例を紹介します。

「いつ」「なぜ」使うのか、新鮮さをプラスして見せることができるのが、動画!

普千(上海)商務諮訊有限公司は、上海で日本企業のメディア・SNSにおけるクチコミの収集、分析、そしてその結果をベースにプロモーションの企画、実行を行っています。シリーズでは、普千社による中国でのPR活動の事例を紹介します。

本日紹介する事例は、テンセントビデオを用いた認知拡大とブランディングを狙った施策です。商品は中国で広く知られているOLAY(P&G)、プロモートする商品は「シャワージェル」、施策はテンセントビデオの制作、放映で、昨年6月末に行われました。

この時期に「シャワージェル」への注目を集めることができた要因は何でしょうか?

実は6月は年度末であり、中国人にとって就職の時期でもあります。OLAYの放映した動画では、新しく入った職場にまだ慣れず、器用にふるまえないことから不本意な評価を受け、それがラベルのように疲れとともに自分に張り付いていると感じる女性が登場します。そうして体に張り付いてしまった「誤解」を、このOLAYのシャワージェルで洗い流し、「自分」に戻る…そんなストーリーが映し出されます。

ポイントは、「新たな環境でのストレス」に対して「何も考えずシャワーを浴びて寝る」というルーティンに、商品を加えた1アクション「シャワーのあとすぐ寝ないで明日に向かって気持ちをリセットする」ことを提案している点です。

就職したての若い女性がこの時期に抱く感情を描き、その感情とリンクした使用シーンを、新しい習慣として提案することにより、ターゲットのより強い共感を招いているだろうと想像できます。

ネットで拡大、複数のメディアに取り上げられ話題に。

このムービーは、ネットニュース、WeChatのアカウント、新浪微博のブログなどで取り上げられ、新浪微博では7.6万ビュー、ハッシュタグは881回書き込みされました。動画の伝える能力が最大限に活用されたプロモーション施策の一つといえるのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。「時期に合わせた」「使用シーンを想像できる」そして「新しい提案がある」という三点が中国向けプロモーションでは有効、ということが見えてきたのではないでしょうか。来月もまたプロモーション施策の詳細とその結果をご紹介いたします。どうぞお楽しみに。