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【特集】もうすぐ夏休み!今夏の消費動向を予測(4)~「〇〇したい」に表れるコト消費の流行の芽 

特集(3)では、2015年と2016年の夏について、「行った」ランキング結果を比較してきました。訪日中国人が夏に「行った」スポットには、「夏ならでは」といった大きな特徴は見られませんでした。

本編では、この夏のコト消費の傾向を占うため、2016年夏と5月末の「〇〇したい」ランキングを比較します。さらに(5)では5月末の最新ランキング結果について、属性の分析を通じて各体験の引き寄せる消費者像を探ってみたいと思います。

夏のイベント、情報が沸き上がるのは今! ~今年の夏の風物詩はどこまでランクアップできるか

訪日中国人の「〇〇したい」ランキング

  2016年夏 5月24日‐5月30日
1位 買い物したい 買い物したい
2位 日本料理を食べたい 温泉に入りたい
3位 温泉に入りたい 日本料理を食べたい
4位 着物を着たい お寺に行きたい
5位 日本料理を作りたい 着物を着たい
6位 富士山に登りたい 日本料理を作りたい
7位 お寺を見に行きたい 美容院に行きたい
8位 花火を見たい 撮影をしたい
9位 新幹線に乗りたい エステに行きたい
10位  日本の伝統家屋に泊まりたい ライトアップ(夜景)を見たい
11位 ドライブしたい 和菓子を作りたい
12位 美容院に行きたい 新幹線に乗りたい
13位 日本人と友達になりたい 日本の農家で働きたい
14位 ポケモンをゲットしたい 富士山に登りたい
15位 ライトアップ(夜景)を見に行きたい 舞妓さんになりたい
16位 キャンプしたい 紙漉きをしたい
17位 渓流下りをしたい 日本でサイクリングをしたい
18位 舞妓さんになりたい オートバイを運転したい
19位 屋形船に乗りたい カプセルホテルに泊まりたい
20位 和菓子を作りたい 人力車に乗りたい

※対象SNS:新浪微博
期間:2015年は7月1日から9月1日までの9週間、2016年は6月29日から8月30日までの9週間で集計

TOP5については、2016年夏も今年の5月もあまり変化はありません。「買い物、温泉、日本料理、お寺、着物」はコト消費の定番となっていると言えそうです。また2016年は、夏にしか体験できないイベントは8位の「花火を見たい」がランクインしています。

今回の比較では、夏の風物詩の「花火を見たい」は、本年5月の段階では上位に入っていないことがわかりました。では、「花火を見たい」のランキング順位はいつごろから上昇するのでしょうか?

トレンドViewerで「花火を見たい」のランキング変動を確認すると、2016年の6月下旬に初登場していることがわかります。クチコミの拡散のためには、SNS上でその話題が広がり始める時期を見越して、その前に情報発信を始めることが重要です。例えば花火に関連したイベントの情報は、6月から発信することでより集客効果が高まるかもしれません。2017年5月には「海で泳ぎたい」が初登場しています。今年の夏は海に関する体験に訪日中国人の姿が見られるのかどうか、注目していきたいところです。

注目度急上昇! 1位は旅のお供の〇〇もポイント!?

2016年夏にはTOP20に入っていなかったものとしては、「撮影がしたい」「エステに行きたい」などがあげられます。「撮影がしたい」は2016年4月下旬に初登場、「エステに行きたい」は2015年末に初登場し、時間をかけて順調に順位を上げてきています。まだしばらく、訪日を予定している中国人の関心を得られそうです。

ここでもトレンドViewerの新機能を使って、直近(5月31日~6月6日)の「〇〇したいランキング」上昇率TOP5を見てみましょう。

「〇〇したいランキング」上昇率TOP5(期間:5月31日~6月6日)

1位 新幹線に乗りたい(12位→8位)
2位 染め物をしたい(32位→22位)
3位 そば打ちをしたい(34位→25位)
4位 森林浴をしたい(27位→20位)
5位 スカイダイビングしたい(40位→31位)

1位「新幹線に乗りたい」、2位「染め物をしたい」、3位「そば打ちをしたい」、4位「森林浴をしたい」、5位「スカイダイビングしたい」となりました。

 

1位の「新幹線」について、新浪微博の書き込みをのぞいてみました。

「新幹線で大阪へ」というコメントと共に、東京発の切符と複数の弁当、車内の様子がインスタグラムのように一枚に並べられた写真がアップされています。また「新幹線、お弁当おいしい」と、同乗者の有無はわかりませんが、やはり複数の駅弁の写真がアップされています。「駅弁食べたかったんだ」という投稿にアップされた写真には鳥、豚、牛のイラストの入った「東海道肉尽くし」と午後の紅茶が映り込んでいます。

すき焼き、味噌カツ、焼き鳥が入っているこの弁当は他の複数の投稿でもアップされていました。平均所得が上昇し続けている中国ですが、食事の中心が野菜である場面も少なくありません。「肉」「複数の種類」という贅沢感、特別感といった要素が受けているのかもしれません。

花より団子…ではありませんが、編集部がSNSを確認した日(6月27日)には景色よりも駅弁の写真が多い印象がありました。

また「染め物」と「そば打ち」がランクインしており、日本の文化体験には引き続き注目が集まっているといえそうです。「森林浴」や「スカイダイビング」がランクアップしていることにも「自然を味わいたい」という欲求が隠れているとも解釈できそうです。

急上昇ランキング1位から4位に並ぶ体験を見ると、大都市から新幹線で緑豊かな地方に移動、自然を楽しみつつ、日本文化を体験する、といった流れが浮かび上がってくるようです。これからの日本旅行のゴールデンルートとして流行する日が来るのではないでしょうか。

まとめ

昨今メディアを賑わしているコト消費として「美容」があります。多くの訪日(予定)中国人が、日本の美容体験に注目をしているようだということは、「〇〇したい」ランキング上位の結果からも明らかです。

一方で、すでに注目を集めているものではなく、注目を集めつつあるトピックにいち早く気づくために、SNSは有用な情報源となりえます。訪日中国人の目線が次に向きそうな体験について、ランキングの変動やSNS上の書き込みから仮説を立てることもできます。微細な変化をとらえ、いち早く施策を打っていくことが、常日頃スピード感あふれる中国で生活する消費者を取り込むポイントとなるのではないでしょうか。

 

次回は、いよいよ「〇〇したい」の属性を分析、どこの誰が何をしたいのか、明らかにしていきたいと思います。

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