宮田将士の上海だより(1)夏休みに上海の道路が走りやすくなるのは、〇〇の必要がなくなるから!
今回から始まる【宮田将士の上海だより】では、上海在住の宮田将士氏が四季折々のリアルな上海生活についてレポートします。第一回目の今回は、意外な場所から気づかされる、「中国の教育熱」の大きさをご紹介します。
中国的小中学生の登下校スタイル
皆さんは、小学校、中学校の頃、どんな景色を見ながら登下校をされていましたか? 徒歩や自転車、あるいは公共の交通機関のバスや電車を利用していた方がほとんどではないでしょうか。地方であればスクールバスに乗っていた方もいるかもしれません。
一方ここ、中国の上海では少し事情が異なります。中国でもスクールバスは存在しますが、そのほか子供を学校に送っていく自家用車、そして自転車、電気自転車等が登下校の際の主な交通手段となります。
人口の多い中国では、通勤に加えこの登校のラッシュにより、道路が大混雑します。学校に面した道路では、路肩駐車するバス、車、乗り降りするために一時停止する車、タクシー等が付近を埋め尽くしてしまい、後続の車の通行もままならず付近の道路も大渋滞します。
校門を目指す子供への愛情のせめぎあいが呼び起こす交通整理
渋滞がひどい学校付近は交通警察の警察官が駆けつけて整理をしますが、なんといっても可愛い子供や孫のため、少しでも校門に近いところで降ろしてあげようと渋滞に突っ込み、車をその中に一時停止させて、子供や孫を校門まで送り届けて更に校舎に入っていくまで見送るので、誰もおまわりさんの指示などきいていません。
こうなると付近の住民から苦情が殺到しそうですが、子供たちの苦労を知っているからなのか、不満の声が上がるということはあまりないようです。
そして、この学校付近の渋滞は、当然ながら登校時だけでなく下校時にも発生します、時間で言えば大体3時から5時にあたります。朝の8時、夕方の5時というとそもそも通勤ラッシュの時間でもありますから、通勤ラッシュ+登下校ラッシュで上海の街や道路は車であふれかえり、ここに更に自己主張が激しいドライバーの割り込み、差し込み、追い抜き等の熱い戦いが加わることになります。
上海夏の風物詩は「空いた道路」
しかし! 夏休み期間になると上海の街の道路の景色が一変します。毎朝、7時から8時になると大渋滞で車がまったく動かない状態だった道路が、この夏休み期間だけスカスカになるのです。
これが、7月、8月の夏休み期間になると驚くほど道路の車の流れがスムーズになるわけですから、中国における教育熱の凄さがここからもわかります。上海の道路がこれほど空くのは、旧正月か夏休み期間しかありません。
上海在住の筆者ですが、普段家から会社まで渋滞に巻き込まれると1時間半かかることも普通です。これが夏休み期間に入った途端、20分程度で到着することができます。
空き空きになった上海で快適な運転を楽しみながら、9月の新学期を考えると再び気が重くなる筆者なのでありました。
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