宮田将士の上海だより(5)中国コーヒー事情
中国と言えば「お茶」というイメージがありますが、最近は「コーヒー」も大人気です。街を歩けばいたるところにカフェがあり、とても美味しいコーヒーを飲むことができます。
かつて中国でコーヒーと言えば、大手の食品会社の販売する、お湯を注げば出来上がりの、あまーいインスタントのものが主流でした(今でも依然として人気があります)。
そんな中国が、今や本格的なコーヒーが飲めるカフェ大国となっています。流行るきっかけとなったのはやはりスターバックスの中国進出です。
当初の来店の動機は珈琲ではなく〇〇だった
スターバックスが進出して多くの人がコーヒーを飲むようになり、次第に本格的なコーヒーが広まったのかというと、実はそうではありません。スターバックスがはやり始めたころ、その人気の理由はコーヒーが好きな人が沢山いたからではありませんでした。
人々がスターバックスへ行く理由は今も流行りの「インターネット」「動画」にあったのです。
スターバックスへ行けば、無料のwifiを使うことができたので、パケット代を気にせずにインターネットや動画を楽しむことができます。かつてスターバックスでは、一番小さいサイズのカフェラテを4人で一つ購入して、数時間それぞれスマフォやタブレットでゲームや動画を楽しむという光景がいたるところでみられたものです。
もう一点、かつての日本のように、「スタバでMacbookを広げる」のが一種のステータスとして成立していたのも、スターバックス人気の理由の一つかもしれません。
広がる珈琲ファン、本格派の「現磨珈琲」にも需要
その後、スターバックスを追いかけるように様々なカフェが増えるにしたがって、こうしたネットやステータス目的だけではなくて、本当にコーヒーを楽しむ層が次第に増えていきました。
今では海外から取り寄せた厳選豆をその場で挽いて入れる本格的なカフェも増え、お店は毎日コーヒー好きでにぎわっています。最近では「現磨珈琲」(挽きたてコーヒー)が、あちこちのカフェやファーストフード店でのメニュー表に見つけられます。
▲上海街中の飲料スタンド
▲かなり小さいが、真ん中の列下方に「現磨珈琲」の文字がある
店舗の形態は、スターバックスのような大きなチェーンから個人が趣味でやっている街の喫茶店のようなお店まで様々に、コーヒーを楽しむ裾野は大きく広がっています。きっかけはネットやステータスでしたが、今ではすっかり生活に定借しつつある中国のコーヒー文化、今後も市場は更に拡大することは間違いありません。
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