宮田将士の上海だより(4)中国のスポーツジムの主役はシャワールームの〇〇〇さん
中国でも、今、スポーツジムがとても流行っています。
スポーツジムといえば、できるビジネスマンや女性が通うというイメージがありますが、中国ではちょっと事情が違い、とてもおもしろい現象がみられます。今回のコラムでは、そんな中国らしいスポーツジム事情を紹介したいと思います。
ファミリー会員が主流
冒頭にも書いたように、スポーツジムといえば、若い男性、女性が通うものという印象があるかもしれません。
実際中国でもオフィス街や繁華街等の近くに立地しているジムの場合はそういう客が多いのは確かです。しかし、これがベッドタウン、つまり街の中心部から少し離れた郊外にあるスポーツジムになると様相が変わります。
郊外にあるジムに行くと、お年寄りと子供で溢れかえっているのです。プールは子供でいっぱい、そしてシャワールームはお年寄りでごった返します。そして、ジムの主役であるトレーニングマシーンの部屋に行くと意外にも閑散としているのです。
▲利用者の見あたらないトレーニングルーム
中国の郊外型のスポーツジムに行くとどこでも大抵同じような光景を目にしますが、これは一体なぜなのでしょうか、そこには中国らしい事情があります。
まず、こうした郊外型のジムでは、皆ファミリー会員で申し込んでいる人が多いということがあります。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、孫と複数人で申し込むと、一人ひとり単独で申し込むよりも会員費がとても安くなるのです。
よくある話しで、お父さんやお母さんはだんだんなまけてしまいジムを使わなくなりますが、おじいちゃん、おばあちゃんは高い会員費のもとを取るべくあししげくジムに通うようになるのです。
ジムは孫育てにぴったり!
また、中国ではおじいちゃん、おばあちゃんが孫の面倒をみることが多いですが、子供はいつも元気いっぱいなため、おじいちゃん、おばあちゃんは体力的についていくのが大変です。
そこで便利なのがジムのプール。孫をプールにつれていけば、2時間は放っておいても大丈夫で、おじいちゃん、おばあちゃんは同じような境遇のお隣さんとおしゃべりに勤しむわけです。
▲おしゃべりを楽しむ初老の男性、女性
そして、おじいちゃん、おばあちゃんはジムのシャワールームを積極活用します。
ジムのシャワーはお湯の勢いがすごく、家のシャワーより快適です、そして何より、シャワーを沢山使っても、ガス代も水道代もかかりません(ジムの会員費のもとを取るほどシャワーを使えるかは疑問ですが)。
更にジムはサウナやSPAまで設置されているため、まさに至れり尽くせりというわけです。
このように、中国の特に郊外型のジムは、今お年寄りのレクリエーションの場、孫育ての場、コミュニケーションの場として定着しているといえます。若い人だけでなくお年寄りから子供まで利用するスポーツジム、市場は想像以上に大きい気がします。
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