【特集】キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(5) ~高額商品やトレンドの「美食」 消費の主体は30代~
(4)に続き、資産や消費に関するキーワードの百度指数のこの1か月のデータを見ていきます。
キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(1) ~2017年第一四半期のマーケット規模~
キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(2) ~いまさら聞けないWeChatPay&アリペイの仕組み~
キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(3) ~キャッシュレスが生み出す新たな店舗の形~
キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(4) ~節約に関心の〇〇省、百度の検索指数から見える経済意識~
山東省、四川省、福建省の次に来るのは「華中」地域?
「家」「車」「別荘」
「家」「車」「別荘」では、「車」の指数が最も高くなりました。
緑:車 オレンジ:別荘 青:家(以下同様)
地域別TOP10を確認してみると、それぞれ上位にランクインする都市名はおおむね変わらず、広東省、北京市、江蘇省、浙江省、上海市、山東省、四川省、福建省が並びます。
特徴の見られたのは8~10位で、それぞれに「華中」地域がランクインしています。具体的には「家」には河南省と湖北省が、「車」には河南省と河北省が、「別荘」には湖南省と河南省がランクインし、GDPの高い山東省や四川省、リゾート地の福建省に続いて高額な資産、商品に関心を持っていることが見て取れます。
地図上、緑色の濃い部分が「車」検索指数の高い地域。
年代別ではすべて30代がボリュームゾーンであり、40代が続きます。20代は「家」「車」で25%程度を占めており、結婚に伴って関心を抱くトピックであることが予想されます。
「別荘」は20代ではさらに低いですが、40代では40%近くなっています。家や車、そして別荘を手に入れる資金を20代で形成しているのでしょうか。中国の富裕層の購買力を感じさせられます。
「家」「車」「別荘」ではどのキーワードもユーザー比率では男性のほうが高くなっていましたが、特に「車」は約8割が男性となっていました。男性に好まれる商品であることがわかります。
「グルメ」「ファッション」「腕時計」
最後に「グルメ」「ファッション」「腕時計」の3つです。
青:グルメ オレンジ:腕時計 緑:ファッション (以下同様)
「グルメ」への関心が高く、続いて「時計」、「ファッション」となっています。
「グルメ」はいま中国で流行りのコンテンツ「動画」でも特に注目のカテゴリとなっているそうなので、グルメ関連の動画が検索数をけん引しているのかもしれません。一方で、「ファッション」はこの一ヶ月でじわじわと検索指数を上昇させている様子が見て取れます。中国の多くの地域は大陸性の気候で、冬の寒さは厳しく、服装は保温性といった機能面が重視されることも考えられます。夏はおしゃれを楽しめる時期として、装いに関心の高まる時期なのかもしれません。
続いて地域別の指数の高さを見てみます。今回は「腕時計」に注目してみました。
地図上、オレンジ色の濃い部分が「腕時計」検索指数の高い地域。
1位広東省、2位江蘇省、3位浙江省、4位北京市、5位上海市、6位山東省、7位湖北省、8位河南省、9位福建省、10位四川省という結果になりました。
ここに来て初めて「北京市」がTOP3入りならず、長江デルタ地域の「江蘇省」「浙江省」が広東省に次いでTOP3を占めました。同じ様に経済先進地域であっても、産業の違いなどがアイテムへの関心を左右しているのかもしれません。
ブランドの腕時計は「お金持ち」を意味するアイテムという定義は日本と変わらないようで、先日この定義にひっかけて腕時計をストーリーに盛り込んだ日本発の動画が注目を集めていました。実際の購買行動につながるターゲットは北京よりも南京や杭州なのかもしれません。
▼腕時計に注目の集まった日本発動画の詳細はこちらから
【週次ランキング解説】2017年7月5日~7月11日 日本で「買いたい」ランキング
年代別ではこれまで見てきたキーワード同様、30代がボリュームゾーンとなりました。40代は、30代と比較した場合、ファッション、腕時計への関心は減退するとはいえ一定数あることが見て取れますが、グルメに関しては比較的消極的にも見えます。
男女比では「グルメ」「ファッション」の男女比は半々ですが、「腕時計」は男性の関心が高いことが見て取れます。上記で言及した動画では、男性の経済力を示すアイテムとして「腕時計」が描かれており、その内容に共感を示すユーザーも多かったことから、「腕時計」は男性がつけるものという固定観念があるといった仮説も考えられそうです。
まとめ
今回、調査対象とした12のキーワードについて、30日間の指数を高い順に並べると以下のようになります。
キーワード | 全体の検索指数 | |
---|---|---|
1 | 車 | 24,407 |
2 | グルメ | 9,848 |
3 | 旅行 | 9,679 |
4 | 腕時計 | 4,837 |
5 | 金融商品 | 4,829 |
6 | 別荘 | 4,601 |
7 | 家 | 2,800 |
8 | ファッション | 2,304 |
9 | ショッピング | 1,462 |
10 | 不動産 | 496 |
11 | 節約 | 408 |
12 | 貯金 | 282 |
訪日中国人の「爆買い」が様々な要因で低調になっていると言われますが、検索エンジン百度(Baidu)の検索指数からはお金を貯めたり節約したりするよりも、消費に意欲が向いている現状が見えてくるようです。
またそれぞれのユーザーの居住地、年齢層別の結果は、大都市の次に仕掛けていくべきターゲット層が見えてくるようです。今回の調査結果と最新の決済動向、消費スタイルと合わせて、さらに立体的な中国人消費者像をイメージできたのではないでしょうか。
中国向けマーケティングでは最新の消費トレンドや新興する地域を把握できるような、現地報道やソーシャルビッグデータを活用した情報にキャッチアップすることが大切です。今回の特集では「決済のスタイル」「省人化」のトレンド、そして地域別セグメントの有用性についてお届けしました。中国人消費者への訴求をさらに効率的に、加速させるためのヒントとして活用ください。