【セミナーレポート】国慶節需要を逃さない!(5)事例から見る「発掘」「抽出」「選定」
(4)では、国慶節に打つべきプロモーション戦略について、「情報をウェブに流すことで、知られた商品となること」、「一次情報とKOLの関係性を把握することの重要性」の2点を確認しました。本編ではさらに具体的に、有効なプロモーション戦略の事例を取り上げ、「インサイトの発掘」「Buzzワードの抽出」「メディアの選定」の3ステップに焦点を合わせてみていきます。
事例1:化粧品メーカー「妊娠中に使える化粧品」
【消費者心理の発掘】
中国には「化粧品には有害物質が入っているかもしれないので、妊娠すると化粧をしない」という方が多くいます。これを逆手に取って「妊婦でも使える化粧品」を売り出しました。
【Buzzワードの選定】
実はこのケースでは当初は「天然ミネラルの化粧品」の消費者像を探るべく、SNS投稿の内容をリサーチしていました。すると、「天然ミネラルの化粧品」に関心を抱いているのは妊婦が多いことがわかり、商品のコンセプトを「妊婦でも使える、天然ミネラル化粧品」とすることに決めました。
このメーカーの場合は、施策実施後、店舗売上が3倍になりました。
事例2:メーカー「本家の日本で人気の○○」
【消費者心理の発掘】
このケースでは、まだ中国では馴染みのないUVカット製品の商品がプロモーションの対象でした。「消費者は存在にすら気づいていない」アイテムなので、Buzzワードの選定には同じカテゴリの他製品に関する消費者心理を参考にすることにしました。
【Buzzワードの選定】
「UV」、「日焼け止め」などのキーワードで分析したところ、「日本で有名」、「日本で人気」などが製品の人気に影響していることが分かりました。そこでこのアイテムは「日本で支持されているファッションスタイルの一部」というコンセプトで仕掛けることに決まります。
【メディアの選定】
女性情報サイト、ローカルサイト、ポータルサイト、ニュースサイトなど、数にして45のWebメディアに掲載を行いました。最終的には228のWebメディアで掲出され、PVは1.6億となっています。
記事内でのECサイトへのリンクが奏功し、リリース後には数十万点の在庫が早々に売り切れ、この事象に関した別名まで生み出されるほど、人気商品となりました。
メガポータルでの掲載では、そこからの転載で相当数のWebサイトに展開されることが期待できます。一度バズった記事は、PVの稼げるネタとしてメディアが掲載を希望し拡散が容易となります。「メガポータルでの掲載」そして「バズる記事」という2つの要素がそろえば、KOLやインフルエンサーがその情報を拾う可能性が非常に高くなります。
事例3:化粧品メーカー「新たに見えたターゲット」
さて最後は一度の施策の実施後、新たな消費者心理を発掘した例です。
【消費者心理の発掘】
このケースでは、商品のターゲット層である20代女性をペルソナとして使用感想を中心とした記事をリリースしました。すると施策の結果測定にて、この商品が10代の関心を集めていることがわかりました。
【Buzzワードの抽出】
続く施策に向けては、改めて10代へのターゲットにしたBuzzワードを検討するため、関連するキーワードの分析が行われました。
【メディアの選定】
女性向けの商品なのでファッションサイト、それに加えてローカルサイト、ポータルサイトに記事を掲載しました。施策は複数回に分けて実施されましたが、直近の施策では掲載数の倍以上の媒体への露出が確認されています。
この施策実施後、実際に購入して使用した際に表れる「使用感想」のクチコミが増加しています。またこの商品は中国EC上での取扱いがそれまでまったくなかったにもかかわらず、この施策ののちには約60店で取り扱われるようになり、今月も増加を続けています。
まとめ
本編では3つの事例を取り上げました。それぞれの事例からプロモーション施策の有効性が見えてきたのではないでしょうか。
中国でのECの利用は、大都市を筆頭に日々拡大しています。ブランディング、プロモーション施策においては、認知拡大から売り上げ向上の導線を描くまでが一連の流れとなりつつあります。そのような中、越境ECでのプロモーション施策には、施策を打つのがそのECモール内「だけ」というケースもあります。ですが、EC内での競争は非常に熾烈で、そこで上位に行くのはかなりの至難の業です。では「どこで」施策を打てばいいのかというと、ここでもWeb上での施策が有効だという解が見えてきます。ECモールの外のウェブメディアの情報が「買いたい」と思わせる興味関心を引き出す可能性や、認知拡大が消費者に与える影響を低く見積もっては貴重な機会を見逃すことにもつながりかねません。
「知られれば選ばれる、知らなければ選ばれない」という基本に立ち返り、情報の海の最上流からその存在を知らせることが、購入という消費者のアクション(事業者にとっては売り上げ)までの、第一歩になるのです。
以上、全5回にわたり、国慶節期間の訪日中国人の属性、そして中国人消費者に商品を買ってもらうための施策を事例紹介も交えご紹介しました。国慶節は1月半後に迫っていますが、訪日予定の旅行者が情報収集を始めるのはまさにこれからです。
訪日中国人の属性、訪日旅行に期待するもの、そして中国人消費者のメディアとの付き合い方を把握したうえで施策を選択することが、よりマーケティングの効果を高めるのではないかと思います。2017年最長の休暇、国慶節の訪日中国人に仕掛けるのは、本特集を通読し最新の知識を手にした、今なのではないでしょうか。
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