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中国SNS情報最新版 WechatとWeiboだけじゃない中国SNS、各サービスの最新ユーザー数

中国トレンドExpressでは昨年12月に中国ソーシャルメディア利用状況まとめ(特集77号)をお届けしました。今回は2017年下半期をむかえ、各SNSのユーザーにかかわる最新の数字をお届けします。

ユーザー数は増加の一途の微信(WeChat)をはじめQQや微博といったメジャーなツールに加え、(2)で紹介した「使用率の高いSNS」トップ7から、最近課金サービスを開始したDoubanそして外資系で唯一ランクインしたLinkedInについて、基本情報と最新のニュースを中国のウェブサイトからピックアップしてご紹介します。


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微信(WeChat) ~MAUは脅威の9億人超え!

まずは、(2)でもその圧倒的な使用率を確認できた「WeChatタイムライン」を備える「微信(WeChat)」です。2017年4月24日にテンセントの傘下の「企鹅智酷」が発表した「2017年微信ユーザー&動態研究報告」からその数字を紹介します。(アクティブユーザー数は2017年第一四半期、そのほかは2016年の数字)

  • 月間アクティブユーザー数:9.38億人
  • 1日の平均使用時間:
    4時間以上(30.0%超)、2~4時間未満(約18.0%)、1~2時間(約20.0%)、30分~1時間未満(約15%)
  • アプリの月間平均利用時間:1967分(約33時間)
  • 平均フォロワー数:200人以上(約45%)、500人以上(13.5%)
  • 毎月のWeChat使用金額:
    500元未満(約37%)、500~1000元未満(21~22%)、1,000元~5,000元未満(約30%)、5,000元以上(10%超)

2016年年末のデータと比べると、平均フォロワー数の増加と決済利用額の増大が目を引きます。2016年末は平均フォロワー数約50人、決済利用額は100~300元が主流となっていました。

 

 微信朋友圏(WeChatタイムライン) ~ユーザー層の広さが特徴

WeChatタイムラインはWeChatに備わるSNS機能ですが、こちらの機能に限定した月間アクティブユーザー数は開示されていないようです。しかし、以下に見る「QQ空間」の使用率67.8%を上回っての85.5%という使用率であるため、やはり7~8億人程度のユーザーがいると考えられるのではないでしょうか。ユーザー層がどの年代、学歴に多いのも特徴です。

参考:
【40页报告】微信2017用户研究和商机洞察 | 企鹅智酷发布(出典:大辽网)(中国語)
腾讯2017年Q1财报:微信活跃用户数同比增长23%,QQ下降2%|新京报财讯(出典:鳳凰資訊)(中国語)

 

QQ ~元祖SNSチャットツール!

また同じく(2)の記事で、使用率第二位となったQQ空間をチャットツール「QQ」のユーザー数です。

  • 月間アクティブユーザー数:8.61億人
  • モバイルアプリユーザー:6.78億人

QQは微信(WeChat)を運営するテンセントが99年2月にスタートしたサービスで、登録ユーザー数は同年11月に6万人、翌年2010年4月には10万人を突破しました。2001年に2000万、2003年9月に2億、2004年に3億を記録しました。2003年にリリースした「QQ遊戯」がウェブエンターテイメントの先駆けとなり、ユーザーの拡大にも寄与したようです。またローンチ直後のWeChatとは異なり、PC版があり、容量の大きなデータも送れるのも特徴で、勤務先での業務に使うこともあります。(現在はWeChatもPC版があります。)

QQ空間 ~モバイル使用がほぼ100%

こちらは「QQ空間」のデータです。

  • 月間アクティブユーザー数:6.32億人
  • モバイルアプリユーザー:6.05億人

MAUでは、QQの8.61億人と比較すると2.3億人ほど少ないという結果になりました。モバイルでの使用がほぼ100%を占めていることがわかります。(2)でお伝えしていますが若年層のユーザーが多いようです。

参考:
图解腾讯(00700)2017年Q1财报(出典:新浪財経)(中国語)

 

新浪微博 ~MAU増加中、中国版ツイッター

続いて、使用率で第3位となった中国版Twitter「新浪微博」です。
※月間アクティブユーザー数は2017年第一四半期の財務報告による。対象期間は1月1日~3月31日
※そのほかは2016年年末の微博データセンター発表のユーザー報告書による

  • 月間アクティブユーザー数:3.4億人
  • 月間平均ログイン回数:15日以上(51.4%)、11~14日(10%未満)、6~10日(役10%)、2~5日(約18%)、1日(10%強)
  • モバイルユーザー:89%
  • ユーザーがよく関心を示す話題:「面白い」「メディア」「ムービー」「美人」「ショッピング」「音楽」「グルメ」

一時期は衰退もささやかれていたサービスですが、本年第一四半期の発表ではMAU(月間アクティブユーザー数)が増加し、本家Twitterのユーザー数を超える月間アクティブユーザー数となっています。

参考:
新浪微博2017年Q1财报:月活跃用户达3.4亿,世界第一!(出典:游迅网)(中国語)
微博数据中心:2016微博用户发展报告(出典:知識庫)(中国語)

目的別SNSは有料サービス開始のDoubanと海外発祥でも健闘のLinkedIn

Douban ~趣味共有プラットフォーム

Doubanの発表したデータによると、2016年末でのユーザー数は以下のようになっています。

  • 月間アクティブユーザー数:3億人
  • 新規ユーザー数:1.5億人
  • 主なユーザー層:一線都市~二線都市のホワイトカラー、大学生。

参考:
豆瓣公布豆瓣时间数据:销售额过百万 付费用户过万(中国語)

ただし、トレンドExpressの昨年末の調査ではMAUは約1億という結果もあり、またネット上でももっと少なく見積もる意見が見られるなどしています。微信や新浪微博のように財務報告が発表されていないため、その数字の根拠は疑義が残ります。信ぴょう性の高い数字があればまた本誌でも改めてお伝えしたいと思います。

今年の3月のニュースによれば、doubanは新たに有料のプログラム(動画)の提供を開始しています。この有料サービスは提供開始1週間で数万のユーザーを獲得したそうです。「エリートのためのSNS空間」というような表現をされることもあるdoubanですが、今後評論家や音楽家といったプロによる有料商品を増やしていく方向のようです。思考を掘り下げる系統の娯楽を好むネットユーザーの集まるプラットフォームとして、さらなるユーザーのセグメントが期待できるかもしれません。

 

LinkedIn ~中国向けのアプリ「赤兎」も

さて最後に使用率で7位につけたLinkedInに注目してみたいと思います。

FacebookやTwitterなど米国発のウェブサービスを使用できない中国ですが、ビジネス系SNSであるLinekedInは例外的に中国で展開しています。2014年から中国でのサービス提供を開始、中国では中国向けにアプリの「赤兎」をリリースしています。

  • 全国のユーザー数:約5億人
  • 中国人ユーザー数(定義は不明):3200万人(全世界1位)
  • 主なユーザー層:ビジネスマン

なぜLinekedInの使用率は高かったのでしょうか? 易観智庫の「中国職場社交専題研究報告」では、モバイルユーザーが求めるビジネス系SNSがそれまで存在しなかったことが普及の理由の一つとして挙げられていますが、編集部で「中国でのLinkedIn」の存在について各種報道を確認したところ、中国地区責任者の沈氏の献身があったようです。

LinkedIn中国地区の責任者でありLinekedInグローバルの副社長でもあった沈博陽氏はgoogleやYahooでの職位を歴任し、中国のSNS人人網でも勤務経歴のある人物です。この6月末にLinekedInの職を退任しています。

この退任を「やはり外資インターネットサービスを中国に根付かせることは難しく、失敗に終わったから」とみる向きもあるようです。「外資インターネットサービスを中国に根付かせることは難しい」とは中国国内では常識のようですが、であればなおさら、SNSの使用率で7位に食い込んだLinkedInは注目に値するとも言えそうです。

アプリの「赤兎」は今年5月のSNS系アプリMAUランキングでトップ60に躍り出ています。微信アカウントとのリンクにより500万のユーザーを獲得したともいわれていますが、その性質の差異から(微信は個人的な関係、LinkedInはビジネス関係)、根本的にはLinkedInの盛り上がりには寄与していないとの見方もあります。

沈氏は退職スピーチで、LinkedInのWeChatパブリックアカウントは中国のビジネスマンにとって欠かせないアカウントとなったと伝えています。唯一、海外発祥のサービスそしてビジネス系のSNSであるLinkedInが沈氏の退任後粘り強く成長していくのかどうか、注目していきたいところです。

参考:
领英中国为什么走不出外企本土化魔咒?(出典:DoNEWS) (中国語)
领英中国在华已经有三年多时间了,职场社交在中国有没有前途?(知乎)( 中国語)
再见,领英(出典:創業邦)(中国語)

まとめ

チャットツールはテンセントの一強の様子を呈しています。またオープンなプラットフォームでは微博が一強であることが確認できたと思います。

それらに続いて文学・音楽・映画といったカルチャーに特化したDouban、ビジネス系のLinkedInと特定の領域に強みを持ったSNSツールが続きます。SNS市場全体では、主力の微信、微博の後ろでひっそりと(しかし日本と比較すればかなりの規模で)利用されている様子が数字から見えてきます。

技術革新の応用のスピードも速く、これからもますますホワイトカラーの増加も予想される中国で、同様なサービスの存在しないLinkedInが今後成長を続けていくのかどうかは注目に値するのではないでしょうか。

参考:
中国のホワイトカラー、第3四半期も賃金上昇、北京・上海は月給15万円に迫る(出典:ZUUonline)
中国におけるホワイトカラー人材紹介市場の現状とは?(出典:ZUUonline)
中国ホワイトカラー求人に緩み。報酬額も前月比で初の下落?(出典:DIGIMA NEWS)


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