中国・都市解説(4)河北省(石家荘市)  ~避暑地を悩ませる鉄鋼産業の大気汚染、「雄安新区」のハイテク産業が解決なるか~

中国の首都、北京市を取り囲む河北省をご存知でしょうか? 石家荘(シージアジュアン、せっかそう)を省都に持つこの省について、今日はご紹介したいと思います。

基本情報(地理的位置、人口、観光名所)

河北省は北京市、天津市をぐるりと囲むような形状をし、東部には渤海を眺め、黄河の下流域に位置するという交通の要衝の地域です。人口は7000万人強で、江蘇省に次いで中国国内で第6位、経済規模は国内8位と、まずまずといったところ(2016年)。小麦や綿花の生産が強く、その他は石炭、鉄鋼業などで知られています。

観光スポットでは承徳市にある清の皇帝の避暑地であった承徳避暑山荘外八廟があり、1994年にはユネスコ世界遺産に登録されています。また唐の時代、省都である石家荘市内において臨済義玄が臨済宗を開く等、宗教文化も豊かです。

同省内の秦皇島市・北戴河(ほくたいが)は国内屈指の高級避暑地であり、習近平を始めとした中国の最高指導者たちが毎年夏に大集合し、人事や政策動向を非公式的に決定すると言われる「北戴河会議」が開催される等、政治の裏舞台にもなっています。

隣接する北京や天津に比べると、地味な印象の河北省ですが、近年は「国家千年の大計」と呼ばれるプロジェクトが進んでおり、今後10年で大転換が見込まれてもいるのです。

中国の縮図「鉄鋼の過剰生産と深刻な大気汚染」

河北省は良くも悪くも中国産業を象徴する地域でもあります。中国産業の象徴とはズバリ鉄鋼生産で、河北省は中国国内でも鉄鋼生産で存在感を放っています。

2016年中国各省(市)及び国有企業の鉄鋼過剰生産能力調整規模をみてみましょう。河北省はこのランキングにおいて、第2 位の黒竜江省にダブルスコア以上の差をつけ、ダントツの1位となっていることがわかります。

鉄鋼生産は経済の血液にほかなりませんが(鉄鋼を使って建物を建てることで、雇用も生まれますし景気も良くなります)、国有企業を中心とした鉄鋼業の過剰な生産能力は景気の停滞を生み出します。これが現在の河北省にとって、最大の悩みのタネとなっています。

2016年中国各省(市)及び国有企業の鉄鋼過剰生産能力調整規模

順位 省・市 万トン
1 河北省 1,600
2 黒竜江省 610
3 遼寧省 602
4 重慶市 511
5 福建省 445

(備考)界面新聞より作成。
(URL:http://m.jiemian.com/article/1071393.html)

鉄鋼生産につきものである大気汚染(PM2.5)も、国内各地域と比べて相当深刻で、環境汚染指標ランキングでは不名誉なことに河北省は常連となっています。最近では省政府によって省内で大気汚染企業とされた約7万社が取り締まりの対象となるなど、業界周辺は暗雲が立ち込めています。

以上のように河北省は産業構造の転換環境問題の解決という二重の課題を突き付けられているのが現状です。

環境問題解決のその日、「雄安新区」が中国北方の経済都市圏となる?!

こうした中、明るいニュースもあります。それは、2017年4月、習近平主導で河北省が「雄安新区」という新たな経済開発地区に選定されたことです。

新華網によれば「雄安新区」は「深セン経済特区と上海浦東新区に続く全国的意義を持つ新区」とまでされています。

現状、同地区の発展可能性は未知数ですが、おおまかな方向としては旧来型の鉄鋼・石炭産業ではなく、イノベーションやハイテク産業を中心とした開発が見込まれています。これらの開発を背景とし、「新常態」(中高度成長)と言われる中国の緩やかな発展段階において、河北省は環境問題を解決し、また新たな産業構造を構築していくことにより、今後の中国各地域の成長のモデルケースとなるかもしれないのです。

環境問題の解決は中国経済発展のキーポイントの一つです。今後も「雄安新区」の動向をチェックしていきましょう!

参考:
河北省、大気汚染企業を7万社取り締まり(出典:アジア経済ニュース)
中国共産党中央と国務院、河北雄安新区の設立を決定(出典:新華網)

 

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