中国・都市解説(1)浙江省(杭州市) ~賢く稼ぐ名勝地!大企業の本拠地は、上海に次ぐマーケットになるか?!~

観光名所は西湖、特産は「龍井茶」 “この世の天国”と呼ばれる人気観光地

中国とビジネスでかかわりをもったことのある方なら、「杭のコウシュウ」という表現を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか? 杭のコウシュウとは、同じ音の広東省広州市と区別するために使われる表現で、上海からほど近い浙江省の省都、杭州市を意味します。

中国語では「Hangzhou(ハンジョウ)」という音になる杭州市は、浙江省の北部に位置し、上海(虹橋)からは高速鉄道(高鉄:ガオティエ)を利用して約一時間、約170キロメートルの距離です。ちなみに高速鉄道の運賃は73元~117元となっています(2017年6月現在)。人口は、2015年のデータによれば901.8万人となっています。

杭州市は西湖等の国内屈指の観光資源を持つ地域として知られています。中国では「人の世の天国」と評される風光明媚な土地で、銘茶「龍井茶」を特産に、絹織物も有名です。あるデータによれば、2016年の国慶節連休における予約状況から見た人気観光スポットランキングにおいて、杭州市西湖は上海ディズニーランド、北京市の故宮といった強者を抑えて1位に輝きました(『中国旅游研究院』)。このように杭州市は国内観光地として圧倒的な人気を誇っている事がわかります。

参考:5.89億人が旅行へ、約600万人が出国(出典:中国旅游研究院)

 

中国浙江省地図

中国先進地域が集まる沿岸部に位置する浙江省

浙江省の人々は「裕福な商人」?

浙江省のイメージは観光地のみに留まるものではありません。中国のネット空間では省民性に関するステレオタイプが飛び交っていますが、そこで浙江省人に投影されるイメージは「賢い・抜け目がない」、「実務的」、「団結」、「ハイテク」、「富裕な商人」といったものが目立ちます。上海市、江蘇省とともに長江デルタの一角を占め、これらの地域と並んで沿海部の先端的なイメージを持たれていることがうかがえます。

実際には杭州省はどれほど裕福なのでしょうか? 浙江省に関する数量データを確認してみましょう。

図1は、2016年の中国の地域別GDPの額および伸び率(前年比)を表にしたものです。これによれば浙江省が国内4位の経済規模となっている事がわかります。

表1 2016年の中国のGDPの額及び伸び率(前年比)

順位地域億元前年比(%)

順位 地域 億元 前年比
1 広東省 79512.05 7.5
2 江蘇省 76086.17 7.8
3 山東省 67008.19 7.6
4 浙江省 46464.98 7.5
6 四川省 32680.5 7.7
7 湖北省 32297.91 8.1
8 河北省 31827.86 6.8
9 湖南省 31244.68 7.9
10 福建省 28519.15 8.4
  (省略)
31(最下位) チベット自治区 1150.07  11.5

備考:南方財富網より作成

また、表2では中国全土31地域区分のうち、一人当たりGDPが1万ドルを超える富裕な9つの地域のリストアップです。

天津市、北京市、上海市といった、相対的にコンパクトな直轄市が上位3位を占める中で、杭州市を含む浙江省は5位に食い込んでいます。

図2 中国国内で一人当たりGDPが1万ドルを超える9つの地域

順位 地域 ドル
1 天津市 17,406
2 北京市 17,271
3 上海市 17,120
4 江蘇省 14,361
5 浙江省 12,635
6 福建省 11,184
7 内蒙古 11,171
8 広東省 11,034
9 山東省 10,245

備考:中国情報網より作成

GDPに限らず、その他の経済的発展度を表す各種指標をみてみても、浙江省は上海市などと並んで上位の常連となっていることが確認できるでしょう。「富裕な商人」のイメージはこうした実情が背景となったものです。

製造業だけでなくITも! アリババグループ本社の所在地

産業についてもう少し詳しくみると、浙江省の産業構造は、国内全体と比較すると第一次産業(農林水産業)比率が低く、第二次産業(製造業等)比率が高い、つまり製造業が強いということがわかります。

省内GDPの25%弱を占める杭州市には、多くの有名企業が集結しています。例えば国内屈指の自動車メーカーである吉利汽車や、スウェーデンの自動車メーカーのボルボ等を傘下に持つ浙江吉利控股集団は代表的な企業の一つでしょう。

一方で、近年杭州市の注目度をあげているのは製造業の強さだけではありません。今や世界にその名をとどろかす、世界最大規模のEC(電子取引)で知られるアリババグループ(阿里巴巴集団)は、1999年の設立時から杭州市に本社を置いています。

名門浙江大学を有し、すでに豊かでありながら今をときめく大企業の本拠地である杭州市では、今後中国で増えていく中間所得層マーケットを先駆けて実現していくのではないでしょうか。


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