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【中国消費者】 中国消費者井戸端会議 第1回~ECってどうよ?~

多様化していく中国消費者のニーズ。それを把握するためにもWeiboやWechatなどのソーシャルビッグデータは非常に有用なツール。でもそれを正しく分析するにはやはり、中国消費者の生の考えも欠かせません。

そこで中国トレンドExpressでは、中国最大の消費都市である上海で消費者のお話を聞くための「井戸端会議」を開催。上海でショッピング大好きな女性3人にご参加いただき、ECの使い方、情報の取り方、日本の商品についてまで、自由奔放に、好きなだけ語っていただきました。

参加者の中に「EC買い物達人」とも呼べる女性がいたことで、会話はその方を中心に回った今回の井戸端会議、上海で働く女性がどのようにECを使っているのか、その会話を聞いてみることにしましょう。

今回の参加者
Jessicaさん(30代)
葛さん(20代後半)
KANAさん(30代)

▼この記事の続きは
【中国消費者】 中国消費者井戸端会議 第2回ダブルイレブンと小紅書、拼多多ってどうよ?
【中国消費者】中国消費者井戸端会議 第3回 消費者が考える今後の中国の消費って?


中国消費者にとってECって何?~中国のアマゾン活用法も

―まずは率直に伺います。皆さんにとって「EC」って何ですか?

Jessicaさん(以下J):生活必需品ね。ないと生活できないわ。

KANAさん(以下K):そうそう。

葛さん(以下G):うん。もう百貨店などにも人がいなくなっているくらいね。

J:今日もあるスキンケア商品が百貨店?では売らないという話を聞いたわ。百貨店で売るとコストがすごくかかるでしょう。いくら売っても割が合わないんだって。でもECだとコストも抑えられるという話。実際、みんなネットで買っているから。生理用品ですらネットで買える時代ね。

 

―もう何でもネットなんですよね

J:そう。「餓了麽」で野菜買ったわ。しかも安い!

K:そうそう。あと「盒馬(盒馬鮮生。アリババが展開するITスーパー)」ね。

J:盒馬って高くない? 餓了麽のほうが安いと思う。

G:あと今は「拼多多」とか。

K:拼多多は年配の人が使ってるわよね。

J:ここって今、ネガティブな報道が多いわよね。やっぱり年配の叔母さんたちが使って、情報を共有してる。

G:そうそう。常に新しいシステムが出てくるのよね。あとは普通の消費者に出店をさせたり。

J:あと使うのは「アマゾン」ね。「日亜(アマゾン・ジャパンのこと)」も結構重要なショッピングスポットね。アマゾン・ジャパンで買う場合、まずはタオバオに入って、アマゾンの商品券を購入しているわ。だって割引価格で買えるから。

それを使ってアマゾン・ジャパンで買って、転送サイトで送ってもらうの。そうすれば税金もかからないわ。ちょっと待つ時間は長いけれど、船便だと送料も安いし。それで日本のモノが買えるのだからいいわよね。

G:そうね。確かにいいかも。

J:前に一度、調理士の元カレに日本のキッチンナイフを買ってあげたことがあったの。日本の包丁ってすごく有名でしょう。その時にその方法で買ったの。アメリカのアマゾンで買うのも同じ方法ね。

K:タオバオでアマゾンの商品券買えるの?それってアマゾンの宣伝キャンペーンか何か?

J:ううん。すごく小さな、たぶん個人がやってるタオバオのお店。見てみる?

G:見せて!この人が売ってる商品券ってどこから来てるのかしら…。

J:たぶんアマゾンのプライム会員とかじゃないのかな?確か会員は割安価格で商品券買えるのではなかったかしら?それで買って、価格を乗せて売っているのではないかな。確かに売り主は信用度が高いわけでもない個人店主だけど、売っている商品券は本物だったの。

G:え~、でもこれ結構高くない?500元以上もするし。

J:でも、使える金額を考えたら安いと思うわ。何枚か一緒に買うと安くなるし。

G:高いのしか見つからない…。

K:でも結構いろんな人が買ってるわね。

アプリや商品券の購入方法などの情報交換に盛り上がり、まさに「井戸端会議」の様相を呈している現場。

間もなくやって来るダブルイレブンは?

―さてさて、日本では今更ながら中国のダブルイレブンが注目されているけど、この「ダブルイレブン」と聞いてどんなイメージを持つ?

K:安い!

G:なんかもう、期間前から価格下げて売っているイメージがある。

J:最初は「独身者が心の寂しさを癒すために買い物しよう」というイベントだったけど、今はまったく変わっちゃたわね。でも、もう今年は前みたいに売れないのではないかな~。

 

―なんで?

J: もともとダブルイレブンのサービスって単純だったわよね。もう「値下げ」ただそれだけ。今ってサービスがどんどん複雑になって、もう計算ばっかり。

K:でも、今はもう時間を見て買いに走るって感じになったわよね。

G:そうそう。「搶(早い者勝ち!)」ね。

K:もう計算ばっかりでイヤになっちゃう。

J:初めてダブルイレブンで服を買った時「300元の購入で20元サービス」って言葉で買ったの。でもよくよく考えたら、「その20元のためにそこまで考えて買う必要ってある?300元のもの買うためにその20元ケチってどうするの?」って思えてきて。

K:わかる~。

 

―「ダブルイレブン数学」ってのもあったよね。

K:頭痛くなりますね。

J:私は1回だけダブルイレブンで買ったのだけど、次の年はもう「いいわ」って感じだったの。なんでかというと、私の友人がダブルイレブンの時にT-Mallで服を買ったのだけど、ダブルイレブン終了後の13日か14日あたりに見てみたら、ダブルイレブンの時より安かったの!

K&G:え~!

J:要するにメーカーがイベント前に値段を上げていて、ダブルイレブンの時にそれを下げたのね。でも実は普段はダブルイレブンの時の価格より安い値段で販売してたの。

K:(メーカーは)販売量が欲しかったのね…。

J:よく見たらそんなのばっかりだったのだもの。

K:そうね。あと、実際はキャンセルも多いのよね。聞いたことがあるの。ダブルイレブンの全体の数字って、当日は販売量すごく多くて、数日後は返品の数字もものすごく多いって。

G:私もダブルイレブンで買ったことはあるけど、そこまで熱心に買わなかったのよね。


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―それでも「ダブルイレブン」なんだ。

G:周りがみんな騒ぐし。

J:もうダブルイレブン自体が目的になってる(笑)

K:うんうん。

お買い得情報アプリで情報収集すべし!

J:Gさんはいつもどこ(サイト)で買うの?

G:タオバオかなぁ…。

J:あ、だったらAPPの「什么值得买」使ってみたら?

K:何それ。APPの名前?

J:そうそう。「何がお買い得?」って名前なの。毎日、お買い得サービス商品を紹介しているアプリ。中にはダブルイレブンの時より安くなっているものもあるわ。ダブルイレブンでなくてもお得に買えるということね。

 

―あ~、これね。ここでは物は売ってないんだっけ?

J:「導購決策網(購入決定サイト)」ね。物は売らないけど、いろんなサービスチケットとか各ECサイトの販売価格なんかを教えてくれるの。

K:618元買い物で500元のサービス?え~!

G:これ?

J:この中にはJD.comとかKoalaとかでどんなサービスイベントをやっているのかなどを発信していて、自分の必要に応じて商品を選べるの。あとはタオバオなどで使える、他ではもらえないようなサービスチケットを送ってくれたりだとか。これを使ってると、ダブルイレブンだけが「買い時」じゃないのよね。

K&G:すごい!何よりJessicaさんがすごい!!

J:稼ぎが少ないもの~(笑)。でもこれもJD.comから依頼を受けてキャンペーン情報発信したり、時にはある商品を宣伝する、PR記事みたいなものを発信したりもしているわ。例えば、そうね、「料理レシピ」の記事があったとすれば、その中に上手にキッチングッズなんかの商品へのリンクを埋め込む感じかな。

K:聞いていると、改めて「中国ってすべてのものがネットショッピングと連結してる」って思うわ…。

J:そうね~。この前、近くのスーパーに行ったらどこかに買収されたらしくて、店員さんも「これからどうしよう?」って悩んでたし、ちょっと前には「百聯(中国の大手国営小売グループ)」もどんどんお店を閉めているというから。

K:ウチの近くの百聯スーパーも閉まっちゃった…。

―どこもリアル店舗は厳しいんでしょうね。

 

お三方のECショッピング話はまだまだ続きますが、今回はひとまずここまで。次回も「拼多多や小紅書ってどうよ?」など、消費者のぶっちゃけトークが続きます。