中国トレンドExpress

【中国人気化粧品】商品の強みが中国の悩みとマッチ 消費者の「比較レポ」が人気に拍車を

中国市場で人気名キャップグッズとなっている伊勢半の「Kissmeヒロインメイクスムースリキッドアイライナー スーパーキープ」。前回はその人気状況を確認してきましたが、今回は中国消費者のアイライナーニーズを確認しながら、同製品が中国市場に刺さった理由を分析していきます。


▼前回は
【中国人気化粧品】 「濡れても落ちない!にじまない!」 中国女性大喜びのアイライナー大分析


■調査内容

以下のキーワードで直近1年分のWeiboクチコミを収集

  • ヒロインメイク スムースリキッドアイライナー スーパーキープ
  • アイライナー
  • 目元×化粧

 

■おさらい

「ヒロインメイク」は日本の化粧品メーカーである株式会社伊勢半のブランド「Kiss me」の中にあるシリーズ商品。

「美の国の王女・エリザベート・姫子」の、より美しくあるためのメイクグッズというコンセプトで、いずれもそのキャラクターをあしらった豪奢なパッケージデザインが目を引く商品となっています。

そのなかで中国で人気となっているのが今回紹介するアイライナー。日本でも「涙・汗・皮脂に強く、美しいラインを長時間キープ」することが可能ながら「にじみにくいのに、お湯でオフ!」というクレンジングの便利さ、さらには「筆先0.1mmの極細筆」が使いやすいと評判の商品です。


ヒロインメイクアイライナーはクチコミデータバンクであるトレンドViewerにおいて「買いたい」ランキングでは長期にわたってトップを保っている人気商品です。

 

【グラフ】「ヒロインメイクアイライナー」トレンドViewerにおけるクチコミ件数推移

中国消費者のアイライナーへのニーズにマッチ

その人気を深掘りするために、まずは前回少し紹介した、同商品に関するクチコミキーワード上位20種類から見てみましょう。

 

【グラフ】ヒロインメイクアイライナーのクチコミキーワードTOP20

同製品の人気のポイントとしては、まずは「使いやすさ」。そして「にじみ」「長持ち」、また「防水」といった耐久度に関するクチコミ。まさに同製品の最も大きな特長である3ポイントへの評価が高く、中国SNS上においてこれらを中心にクチコミがなされていることがわかります。

それに対して、「アイライナー」そのもののニーズを見ていきましょう。同様にアイライナーに関するクチコミキーワード上位20種類をまとめました。

 

【グラフ】「アイライナー」に関するクチコミキーワードTOP20

 

【グラフ】「アイライナー」のクチコミ。ポジネガ比率

これを見ると、中国消費者がアイライナーを選ぶポイントとしては、1位は「色」。2位が「使いやすさ」となっています。

この部分は同製品のクチコミでも「使いやすい」というキーワードが上位に来ているように、「筆先0.1mmの極細筆」による書きやすさとマッチしていたことで、中国消費者に刺さっていったのだと考えられます。

またその後、「長持ち」というキーワード、そして「パンダ」というキーワードが続いています。

これは女性であれば多くの人が共感するかもしれません。長時間にわたる耐久性に欠けていたり、雨や涙などによってアイライナーが流れて「パンダ」状態になってしまっては、せっかくのメイクも台無し。中国においてもこうした「落ちにくさ」を求めていることが見て取れます。

こうしてみると、中国消費者における同商品への悩み(ほぼ日本と変わらない)と同商品が上手く重なり合ったことが、消費者に受け入れられていったポイントになっていたと思われます。

中国SNS上の「多ブランド比較」が中国消費者に刺さる

しかし、いくら商品のポイントが消費者ニーズを満たしていても、それが消費者に伝わらなければ購入にはつながっていきません。

その点においてみれば、同製品は2013年にWeiboの公式アカウントを開設、積極的な情報発信をしてきたことが挙げられます。

ただ同時に、消費者による自発的な情報発信が影響している点にも注意が必要です。

中国SNSの中で現在急速に人気が高まっている「小紅書(RED)」を見てみると、一般ユーザーの投稿でも同商品の耐久性に関する情報が多く紹介されています。

その多くは、「他のブランドと比較する」形で紹介されていました。例えばメイベリンのアイライナーと同商品と使って手の甲に線を引き、それを擦ってみる。その落ち具合を比べることによって、その耐久性が一目瞭然となります。

小紅書で一般消費者と思しきユーザーの書き込み

もちろんこれは、メーカー発信型では行えないものです。しかし、特に「まったく企業と利害関係のない」消費者が、同じセグメントで多ブランドを横並びで紹介することは、中国消費者にとっては信ぴょう性がより高まり、「買いたい!」と思わせるのです。

前回お伝えしたように、同商品でもトップKOLの「Pony 朴恵敏」が自身のアカウントで紹介していたタイミングでクチコミ件数が大きく伸びています。

クチコミのなかで「推薦(おすすめ)」、や「同モデル」というキーワードが多くランクインしてくるのはこうした事情によるものです。

現在でも同様の書き込みは多く、ヒロインメイクの人気は衰えそうもありません。