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【中国EC商戦】「618」でダブルイレブンの勝敗が決まる① 2019年上半期最大のEC商戦、まもなくスタート

中国の巨大商戦と言えば「ダブルイレブン」ですが、実はダブルイレブンの勝敗が「ダブルイレブンの“外”で決まる」ということはご存知でしょうか。それは中国ECにおける上半期最大のイベント「618」。今回はまずこの618商戦の基礎知識、そしてその重要性について分析してみましょう。

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上半期最大のEC商戦「618」とは

618とは6月18日、中国EC業界TOP2の一社「京東(JD.com)」設立記念日(1998年設立)として2010年にスタートした中国巨大EC商戦。

京東は、かつてIT企業の集まる「中関村」に拠点を置き、パソコンおよびその周辺機器の販売を中心にビジネスを始めたことから、「電子系商品が強く、ユーザーも男性が多い」というイメージがありました。

 

しかし、ファッションやベビー・マタニティといったセグメントでも商品が充実しており、前々年度である2017年の618でも化粧品の販売が大きく伸長するなど、T-Mallと並ぶ総合ECサイトとしての地位を確立しています。

それに伴い、当初6月18日のみのイベントだった618も、現在は5月末ごろから6月下旬まで約1か月続く、大規模イベントへと成長。W11と並ぶ「中国EC市場の最大級のカーニバル」となったのです。

 

618シーズンには京東だけではなくTaobao、Suning(蘇寧)、VIP(唯品会)など、いずれも「京東に儲けを独り占めさせてなるものか!」と、イベントをぶつけ、今やダブルイレブンと並ぶ2大商戦ヘと成長しています。

2018年は618期間中で2844.7億元(約4兆8400億円)の売上を見せました。その中でトップとなったのはやはり「京東(JD.com)」。中国EC最大手である「T-Mall(天猫)」は2位となりましたが、TOP2で全体の圧倒的多数を占める構図には変わりはありません。

ただ、団体購入モデルで勢力を伸ばしている「拼多多」が、Suning(蘇寧)やVIP(唯品会)を抑えて3位に入り躍進するなど、新興勢力の台頭も。2019年にはこうした「TOP2以外」の動きも、来るべきダブルイレブンを占う上でも気になるところです。

 

【グラフ】2018年618期間中の売上

出所:星図数据のデータを基に中国トレンドExpresにて作成


▼参考記事
【越境EC】 ビッグイベント重複も新しい小売モデルへ 2018年618商戦まとめ


なぜ618を攻めるのか?消費者に商戦の使い分けも

さて、冒頭で「ダブルイレブンの勝敗を決めるのは618」と書きましたが、その理由についてお伝えしましょう。

下の表 は、T-Mallにおける既存ユーザーと新規ユーザーの訪問数を示したデータです。これを見ると618商戦時に新規訪問ユーザーがぐっと増え、その後ダブルイレブンに向かって既存ユーザーの訪問が伸びていることが見て取れます。

出所:CBN Data

こうした背景には、中国の消費者に各種商戦の使い分けが起こっていることが考えられます。現在、中国では618、ダブルイレブンのほか、3月8日の「婦人節(国際婦人デー)」商戦、夏休み商戦、春節商戦など、数多くの商戦が展開されています。

こうした商戦の多様化を見た中国消費者が「ダブルイレブンの時にはこういった商品、618の時にはコレ」といった使い分けを行っている傾向が見えます。

 

例えば、

  • 618→ネット初心者による初参戦→ダブルイレブンでお目当て商品化
  • ダブルイレブン→普段使い商品の大量買い
  • 婦女節→ダブルイレブンで買った商品の補充、女性が自身へのご褒美
  • 春節→家族と分ける食品 1年頑張った自分や家族へのご褒美

といった感じです。

 

つまり、この618で新しくユーザーになった消費者を引き付けることで、来るべきダブルイレブン時に購入する消費者を囲い込むことに繋がります。

 

また、単純に囲い込むだけでなく、618での購入により商品の良さを体験してもらうことで、ダブルイレブン時に再購入、さらには来年の婦人節商戦で追加購入と、ファン化につなげていくことも可能です。

日本では「618はダブルイレブンの前哨戦」という印象がありますが、こうしてみると「618はダブルイレブンという巨大な城を落とすために、欠くことのできない重要戦略拠点」なのです。

そのためダブルイレブンに重点を置くのであれば、「ちょっとした腕試し」気分ではなく、「全力で落としにかかる」意気込みで臨む必要のある商戦なのです。

 

三国志を読まれた方であれば、蜀の諸葛亮の北伐をイメージしてみてください。

街亭は目立たない小さな丘でありながら、北伐計画を支える重要拠点。そこを馬謖の失策によって落としたことによって諸葛亮の北伐は全面撤退を余儀なくされました。

 

この諸葛亮の北伐計画をダブルイレブン攻略とするのであれば、618はまさに、中国EC年間商戦における「街亭」。この商戦をきちんと確保することによって、来るべき最大の山場であるダブルイレブンを有利に展開できる、逆に落としてしまうとダブルイレブンの戦いが非常に困難となるでしょう。

 

次回はそんな2019年618商戦の攻め方を、具体的な例を交えて考えていきましょう。

「618」でダブルイレブンの勝敗が決まる② ~618で勝ち、ダブルイレブンでも勝つには消費者心理を知るべし~

 

■2019年の618を勝ち抜く戦略はこちら