中国化粧品市場のこれからを探るべく行ってきました「美容博」!
日本企業の多くが注目している中国のコスメ市場。その拡大はとどまることを知りません。その市場に向けて自社商品をPRできる場が中国最大規模のコスメ展示会「中国国際美容博覧会(China Beauty Expo)」。
中国トレンドExpressでは5月20日~5月22日に上海で行われた「中国国際美容博覧会(China Beauty Expo)」に密着。中国コスメ業界の最新事情をお伝えするとともに、そこから見える中国美容業界の今後を占います!
広大な敷地の中で繰り広げられるコスメ業界の戦い
敷地面積約25万㎡、展示スペースの総面積約10万㎡の広大な展示会場、上海新国際博覧中心では、常に国際レベルの各種展示会が行われています。
その中で毎年注目されているのが「中国国際美容博覧会」、通称「CBE(China Beauty Expoの略称)」。
ご存知の通り中国でもコスメ業界の成長はとどまるところを知らず、まさに中国経済をけん引する一翼を担っています。
展示会場には中国現地の化粧品メーカーやOEM、周辺素材企業のみならず、中国市場で先を走っている韓国、アメリカ、ドイツ、イスラエルといった欧米諸国、さらには近年中国市場で存在感を増している「タイ」ブランドなど、この中国の巨大市場を狙う世界各国の化粧品企業がブース出展。
海外企業の多くはそれぞれ、中国の輸入ライセンスをクリアした商材を「一般貿易」として販売すべく、中国国内の代理商(貿易商)や消費者に向けて熱いPR合戦を繰り広げたのです。
会場の中は外気の高さと相まって、熱気ムンムン。常に出展企業の熱い呼び声、イベントの音楽、そして来場者の歓声が響いていました。
さらには会場を歩けば、有力ブースではKOLたちがライブ中継の真っただ中。こうした有名ブランドとなった企業では、この場を中国消費者向けの発信の場として活用。ライブ動画を利用して、新商品の紹介のみならず、自社の人気ぶりを猛アピールしているのです。
またローカル企業はその地の利を生かし、中国で有名な司会者、美容の専門家などを招いたイベントを開催。試供品のお土産作戦などで、自社ブランドや商品を印象付ける作戦を行っていました。
台頭するローカルスキンケア。これからの注目は?
さて、こうして展示ブースを(足を棒にしながら)歩いていると、どのブランドもやはり「スキンケア」商品を数多く出展。フェイスマスク、アンチエイジング効果を持つ化粧水、エッセンシャルオイルなどが並びます。
このセグメントは日本でも多くのメーカーが中国市場向けに投入しており、消費者からの信頼も勝ち得ている商材。
しかし、業界の人に話を聞くと「すでに過当競争。市場としては飽和状態」との声がちらほら。
また、一般に言われる「原液系化粧品」に関しては、日本企業や欧米系企業がその質の高さで中国市場をけん引してきました。
しかし、こちらも「ローカル系企業も侮れない。研究して、良い商品を投入してきている」と語りつつ、「とにかくプロモーションに投じる費用が違う」と、今後の市場競争での危機感を語ってくれました。
確かに話を聞いた中国系化粧品メーカーは、展示ブースで行われたイベントでは現地の女性が群がり、大盛り上がりを見せていました。
その会社のマーケティング担当者に話を聞くと「メインの原材料の大部分は日本から買っている」こと、さらに「今年には日本のR&D設立が進んでいる」と教えてくれました。
こうした中国企業の「日本に追いつけ、追い越せ」といった姿勢が、中国企業の化粧品レベルを高めている様子です。
これからも激しい市場争いが見込まれる化粧品業界ですが、スペースはあるのでしょうか?
中国のある貿易商は日本の商品を専門に輸入・卸を行っていますが、そのセグメントを「ボディソープ」、「ヘアケア」に注力していました。
その理由について同社を経営するD氏は「化粧品といってもスキンケアだけではなく、メイクもすでに過当競争。でも中国では入浴などでできる“普段のケア”商材がまだ少ない」と教えてくれました。
その中で、日本のボディソープやヘアケア商品は品質も良く、中国消費者に受け入れられるのだとのこと。
シャンプー・コンディショナーにおいては日系だけではなく、ローカル系、欧米系がすでに数多くの商品を投入・展開しており「レッドオーシャン」と化していますが、より機能性の高いシャンプー、例えばノンシリコン、もしくは男性向けなどは、まだまだこれから。
現在の参入でも、戦い方次第では市場を確保できる可能性も高いようです。
高まる日本商材の人気。当惑する代理商も
さて、最後にとある貿易商からため息交じりに聞いた話。
日本の商品を専門に扱っている中堅クラスの貿易商、主に二次代理として活動している企業でしたが、近年は「値崩れ現象」に悩まされているとか。
その背景にあるのは「日本化粧品の人気」。
訪日ブーム、越境ECの拡大によってより火が付いた日本の化粧品人気。それによって、日本化粧品を取り扱う貿易会社(代理商)も急増しました。
その結果、特に人気商品に関しては取り扱い量の増加によって価格競争を起こし、「商品の確保が難しいばかりか、売っても利益が出ない」と嘆くほど。ある高級スキンケア商材は「どんなに安く仕入れても、市場にそれ以下の値段で出回ることも」と眉をしかめます。
では、まだ中国で知られていない商品については?と聞いてみると、「そちらは市場開拓が大変。日本商品だから売れるわけじゃない。日本商品の中の人気商品、話題商品が売れるんだから」とのこと。
日本企業にとっては中国進出の頼もしいパートナーではありますが、現場には現場の苦労が絶えないようです。
さて、この原稿を書いているのは最終日22日の早朝。書き終えた後に展示会最終日もきちんと見てまいります!
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