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トレンドViewerで見てみよう。 この夏、中国消費者に人気となった化粧水とは?~2019年版~

昨年好評だった、「中国の夏休みシーズンで“買った”とつぶやかれた化粧水ランキング」。では今年の夏休みシーズンはどうだったのか?思わぬ順位変動があった2019年版の「夏の“買った”化粧品」ランキングを、2018年同時期と比べながら見ていこう。


▼2018年版はこちら

【中国人気】新たな爆買いは?トレンドViewerで見てみよう。 この夏、中国消費者に人気となった化粧水とは?


■データ

トレンドViewerの「買ったランキング」から期間集計機能を使用して抽出

■対象商品

「コスメ・美容」セグメントの「スキンケア・基礎化粧品」・「化粧水」カテゴリーの商品

■集計期間

下記、中国の夏休みシーズン8週間

  • 2019年7月3日~7月9日
  • 2019年7月10日~7月16日
  • 2019年7月17日~23日
  • 2019年7月24日~7月30日
  • 2019年7月31日~8月6日
  • 2019年8月7日~8月13日
  • 2019年8月14日~8月20日
  • 2019年8月21日~8月27日

昨年比、クチコミ件数6割増!

トレンドViewer「買った」ランキングにおける日本の化粧水に関するクチコミ件数は8週間で62,354件。昨年同時期が38,215件であったことに比べると、実に6割以上の増加が見えた。
「買った」ランキングのクチコミ件数全体でも52%の増加がみられているが、化粧水に関してはそれを超える伸び率を見せている。

【参考】トレンドViewer「買った」ランキング、化粧水カテゴリークチコミ件数

その背景にあるのは、もちろん中国消費者の日本の化粧品への信頼感があるのは間違いない。
上海などの大都市の消費者に話を聞いても「スキンケアは日本ブランド」という女性は少なくなく、年齢層も20代から40代までと幅広い。

同時に、こうした状況で、多くのブランドが中国市場に対するプロモーション活動を拡大させていることも、クチコミ件数が増えた一因にもなっているとも考えられる。
特に中国のSNSやECプラットホーム、またそれらと提携した日本のプロモーション企業が積極的に日本企業へ中国向けプロモーションを紹介もしている。
そのため、中国での化粧水クチコミ件数も引き続き増加していくだろう。

伸びるクチコミ件数も、ランキングに大きな変化

さて、その全体的な規模を大きくしている夏休みシーズンにおける「買った」化粧水ランキング。2019年は昨年に比べてやや大きな変化が見えた。
下の表は今年と昨年の化粧水ランキングである。ランキング上に登場している商品の顔ぶれに変動はないものの、順位に変動が現れている。

今年の7月、8月期の化粧水部門1位となったのは資生堂IPSA「ME エクストラ4」となった。それに続いたのがアルビオンの「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル」、3位が資生堂THE GINZAの「ベーシンクスキンケア」という結果になっている。

【表】2019年7月、8月の「買った」クチコミ化粧水ランキング

大きな変化というのが、2017年、2018年と長らく1位だった「雪肌精」が1位から陥落。さらにTOP5にも入ることなく、6位に沈んでいるという点である。
また4位にはオルビスの「薬用クリアローション」が入っており、昨年の10から順位を大きく上げている。

では、それぞれの商品のクチコミ件数を昨年と比べながら見てみよう。

【グラフ】2019年7月、8月の「買った」クチコミ化粧水クチコミ件数

クチコミ全体が増加しているように、各ブランド、昨年同時期に比べクチコミ件数の増加がみられる。その中で増加が顕著な商品はランキングを大きく上げている。
しかし、その反面ランキングで順位を落とした商品には明らかな減少がみられている。

特に長期にわたって高い人気を誇っていた「雪肌精」はわずかではあるが、クチコミ件数が減少。他ブランドが大きく件数を伸ばしていることもあり、6位とTOP5からも脱落するという結果となった。

引き続き、かつてのトップだった「雪肌精」と今回夏休みシーズンのトップとなった「ME エクストラ4」に焦点を当てて見てみよう。

1位奪取の裏側にあるのは?ダブルイレブンをどう使うか

かつてのトップだった「雪肌精」と今回夏休みシーズンのトップとなった「ME エクストラ4」、この両商品の初登場以降のクチコミ件数推移を確認してみた。それが以下の図である。

【図】「雪肌精」・「MEエクストラ4」のクチコミ件数の推移

これを見ると、「 ME エクストラ4 」がクチコミランキングに登場した2015年夏ごろには「雪肌精」はすでに人気商品としての地位を確立していた。

その後、2016年頃から「雪肌精」はほぼ横ばいの状況が続いているが、「MEエクストラ4」はクチコミ件数を徐々に積み重ねていることが見て取れる。そして今年夏に入り、両者のクチコミ件数が入れ替わる結果となっている。

ここで注意が必要なのが「MEエクストラ4」の2016年と2017年のダブルイレブン期クチコミの動きである。
同商品のクチコミを見てみると、この2回のダブルイレブンでクチコミ件数を増加させ、さらにそれを翌年維持、そして新たなダブルイレブンで増加させ、さらにその状態を維持する、階段型の増加を形成していることが見て取れる。

中国最大の小売り商戦であるダブルイレブンは、いわば大安売り商戦であるため高い売上金額を狙うのではなく、商戦期のプロモーションやキャンペーンによって商品の認知度、浸透度を高めること、すなわちブランドとしての資産を積み上げることを目的とするブランドが多い。

この推移を見てみると、同商品も同様のダブルイレブンで同様の効果を発揮していたことが見て取れる。間もなくやって来る同商戦における参考となり得るだろう。

検査のプロによる投稿にも消費者の熱い視線

さて、前頁の両製品だが、同時期に急落と急成長が見えているが、その時期のあるネット上の記事が目に留まった。
Weibo上で人気の「商品検査ブロガー」が日本の「5大神水」と言われる化粧水の成分検査を行いその結果を公表したものである。

そのブロガーは「魏老爸」。
中国の商品安全検査のプロで、多くの商品の安全検査を行い、その結果を公表している。多くのフォロワーはその検査結果を見て「安心できる」、「購入しても大丈夫」という判断をしている。

その魏老爸による「雪肌精」に対する結果だが、同商品の持つ保湿作用は評価しつつも「アルコール成分が比較的多いため、皮脂の多い体質に合う」、「敏感肌、アルコールアレルギー者は使用に注意」といった評価を下している。

「雪肌精」は以前からアルコール臭問題が中国消費者の口に上っていたが「商品検査の権威KOL」によってそれが改めて立証される形になってしまった。

もともと中国の消費者は消費の「ニオイ」に敏感である。

化粧品などに対しても、化学物質的ニオイがある=何かしらの化学物質が含まれている→悪影響があるのでは?という印象住を受ける傾向が多い。
特にアルコール臭があることは「アルコールが使用されており、肌を傷つけるのでは?」という不安を消費者に与えることもあり、実際に同様の内容のクチコミがずいぶん前から散見されている。

今回、その不安を商品検査の権威的ブロガーが証明したことになってしまった。また、同時に「美白神器と言われているが、美白効果は限定的」という結論を下しており、同商品にとってはいささか厳しい強化となってしまっている。

 

この記事が同製品のクチコミ、消費者の購買行動にどのような影響を与えたかは不明であるが、中国では商品の品質・成分情報に関しては日本以上に敏感である。
特に「乾燥肌」、「敏感肌」という自己認識の多い中国では、「ウェブ検索などで化粧品に使用されている成分の情報を検索する」という消費者も少なくなく、こうした第三者による検査結果などへの依頼度が増している。

そのため消費者のクチコミや報道だけではなく、こうした民間の専門ブロガーの発言にも注意を払っておく必要がある。特にこうした内容に対するメーカとしての反応が消費者に注目されていることは言うまでもない。