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【Topics】最大商戦のスタート。気になるライブコマース市場は?

2022年もついに中国最大の商戦期に突入。どのブランドもマーケティング合戦を繰り広げているが、今年もその帰趨を制する者は「直播(ライブ)」と目されている。

そしてそのライブ業界において、さっそく大きな動きがあった。

今回はその中国ライブコマースの状況を占めるトピックスを2つほどまとめてみた。

抖音のトップライバーが相次いで「Taobao Live」へ

まず業界が注目したのが10月18日にメディアによって流れた「羅永浩」とTaobao Liveの戦略提携のニュースである。

 

同氏はこれまで抖音のトップライバーとして、抖音ライブを牽引してきた人物であり、2021年における抖音ライブGMVも50億元と予想されるなど、非常に強い影響力を持ったライバーであった。

 

その同氏のTaobao Liveは、ライバーとライブプラットホームが密接に結びついていた中にあって「移籍」との受け止められ方もあったようだ。

しかし、メディア報道などを見る限り、羅永浩氏は抖音でのライブアカウントも同時に運営すると発表しており、2つのプラットホームをかけ持つ形での活動が展開されると予想される。

 

さらに抖音Liveのトップライバーのニュースは羅氏だけに止まらなかった。

なんと「俞敏洪」も同じくTaobao Liveでの活動を始めるとの情報が流れたのである。

 

兪敏洪氏と言えば、2022年の618で一躍脚光を浴びた抖音のライブコマースアカウント「東方甄選」を運営する「新東方集団」のトップである。

同アカウントは、学習塾運営を行う新東方集団が、「学びながら商品を紹介する」という新しいライブコマース手法によって注目を集め、6月以降、一気に抖音ライブのトップの座を得ていたアカウントである。

 

その兪氏も羅氏と同じくTaobao Liveとの提携を行った。

 

もちろん羅氏同様、抖音のアカウントは残したままである。

 

こうした変化の背景にはまずTaobao Live側が抱えている課題がある。

 

これまでライブコマースの業界でほぼトップを走ってきたTaobao Liveではあるが、悩みも存在していた。

それは相次ぐカリスマライバーの消失、そして行政のライブコマースレギュレーション強化による性質の変化である。

 

前者においては2021年まで李佳琦と薇婭、そして雪梨などのカリスマライバーを抱え、注目度においてもGMVにおいても業界トップを走ってきたTaobao Live。

しかしそのうち、薇婭と雪梨が脱税スキャンダルによって活動を停止。さらに「不行跡のあった人物のメディアへの出演禁止」という行政の方針によって、彼女たちの復帰は絶望的になっている。

 

唯一残った李佳琦も618期間に「機材の故障」を理由にライブ活動を休止。先日、突如の復帰を果たしているが、絶えず引退のウワサも流れている。

 

こうした状況下において、タレントライバーを補充する必要がTaobao Liveにおいても迫られていたのである。

 

同時に相次いでEC、ライブコマースに関する国の規制が出されたことも大きい。

李佳琦の復帰ライブに見えるように、以前のように消費者の購買意欲を「煽り」、衝動的な消費を導く手法は、行政、消費者双方から忌避されるようになってきている。

 

そのためライブプラットホームも、単純な「売り子」としてのライバーではなく、知名度やコンテンツ力など、販売力以外の能力・素質に長けたライバーを育てなければならなくなったわけである。

 

またライバーにとっては、自身の活躍の場が広がるのは願ってもないこととなるだろう。

 

今後は、こうしたトップライバーが自由にプラットホームを行き来できるような状況へと発展することが予想される。

そのため、これまでのように「プラットホームAの〇〇氏とプラットホームBの△△氏、どちらがいいか?」という単純な比較ではなく、ライバー×プラットホームという、より幅広い選択肢の中から裁量と思われる組み合わせを選んでかなければならなくなるだろう。

商戦前、市場監督の眼も強化されるライブコマース

さて、商戦期で最も気を付けなければなら意のが「レギュレーション」違反である。

特に近年はライブコマースの法制化が進んでいることから、ライブ回数の急増する商戦期前はその規制遵守に対して厳しい対応がとられることがある。

 

すでにその兆候は見られ、罰金刑が課せられているケースも報道されている。

 

今回、罰金を科せられたのは上海清争落网鱼文化传媒有限公司(現在は上海籽播文化传媒有限公司)で、罰金の原因となったのは「ライブコマース中において消費者に誤解を与え、競合商品を批判し、かつ虚偽の内容を発信した」容疑によるもの。

上海市市場監督管理総局より処分が言い渡された模様である。

 

本件は2021年10月20日の同社運営によるライブコマースにおいて“珀莱雅羽感防晒”を紹介した際に資生堂の名前を出したり、larocheposayの紹介の際にメイベリンの名前を出し、またLancomeの紹介時にロレアルの名前を出して対象ブランドを低く評価するなどのセリフが見られた。

 

こうした行為が名前を出した競合ブランドの評価を不当に下げた(貶めた)と見なされ、『中華人民共和国反不正当競争法』に抵触、さらにそうした評価が真実に基づかない、いわゆる虚偽情報を発し、結果として消費者に誤解を与えたと判断されたのである。

 

こうした案件は中国ライブコマース上で頻発している様子で、商戦を通じて関連の法令順守、処分の厳格化が行われると見込まれる。

 

トップライバーは、そうした法律への配慮も行われているが、ミドル以下のライバーを行う際には、そうしたライバーの言動に関するコントロールもブランド側が気を配る必要に迫られそうである。