【特集】もうすぐ夏休み!今夏の消費動向を予測(7)~書き込みユーザーの居住地から、各体験の魅力度をチェック!~
(5)(6)では「〇〇」したいの性別、年代別の傾向を分析してきました。「近夏の消費動向予測」最後の1編では、「居住地」に注目して「日本でやりたいこと」の特徴を見ていきます。
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居住地TOP5のシェア率から確認! 情報の拡散状況
まず、今回の「〇〇したい」書き込みTOP20の「体験」について、それらを書き込んだユーザーの居住地上位5都市を確認しました。20項目について、それぞれの都市がランクインした回数を集計し、ランキング化すると以下のようになりました。
「〇〇したいTOP20」の各体験書き込みユーザーの居住地上位5都市における、出現回数の多い都市(ランクイン回数別ランキング)
1位 | 上海市 | 16 |
2位 | 広東省 | 14 |
3位 | 北京市 | 13 |
4位 | 浙江省 | 11 |
5位 | 山東省 | 9 |
6位 | 江蘇省 | 9 |
7位 | 福建省 | 5 |
8位 | 河北省 | 5 |
9位 | 四川省 | 4 |
10位 | 湖北省 | 3 |
10位 | 重慶市 | 3 |
上海市、広東市、北京市、浙江省、そして6位の江蘇省と、沿岸部や直轄市といった裕福なイメージのある地域がみられます。これらの地域は所得も高く、海外旅行に出かける方も多いでしょうから順当な結果のようにも見えます。
参考:都市別求人の平均月給(図解中国トレンドExpressVol.100 )
5位の山東省は経済的に発展しているのでしょうか? 2017年の第一四半期のGDPを確認してみました。
順位 | 省・直轄市 | GDP(億元) |
---|---|---|
1 | 広東省 | 19438.05 |
2 | 江蘇省 | 18822.6 |
3 | 山東省 | 16653.3 |
4 | 浙江省 | 10552 |
5 | 河南省 | 9392.22 |
6 | 四川省 | 7552 |
7 | 河北省 | 7512.4 |
8 | 湖北省 | 7254.06 |
9 | 湖南省 | 7051.1 |
10 | 上海市 | 6922.84 |
11 | 福建省 | 6535.19 |
12 | 北京市 | 6040.5 |
GDPは確かに高いようです。一方で、図解中国トレンドExpressVol.100の都市別の求人における平均月給を見てみると、山東省の都市であるチンタオは28位、済南は30位、煙台34位と、そのランクは決して高くはありません。山東省には月給が少なくとも日本旅行について書き込みをするような、熱心な日本ファンが存在する地域なのかもしれません。
また河北省はGDPも山東省より低く、省都の石家荘は求人における平均月給ランキングでもチンタオよりさらに低い31位ですが書き込みユーザーのランキングに表れている状況からは、山東省のように日本のファンがいると考えてもいいのかもしれません。
参考:全国31省2017年第一四半期GDPランキング:数字と増加率ランキング(出典:閩南網) 中国語
次に、それぞれの「〇〇したい」におけるTOP5都市が占めるシェアから、情報の拡散状況について探ってみたいと思います。
TOP5都市が占める割合が高いランキング
〇〇したい | TOP5都市の割合 | 〇〇したいランキングの順位 | |
---|---|---|---|
1位 | 人力車に乗りたい | 36.5% | 20位 |
2位 | カプセルホテルに泊まりたい | 35.9% | 19位 |
3位 | 日本でサイクリングをしたい | 25.4% | 17位 |
4位 | オートバイを運転したい | 23.4% | 18位 |
5位 | 紙漉きをしたい | 16.9% | 16位 |
TOP5を構成する都市はそれぞれ「体験」によって異なりますが、「人力車」「カプセルホテル」「紙漉き」は冒頭で確認したランクイン回数上位の都市で構成されています。これらの都市ではGDPが高く平均月給も高いことから、旅行に充てる資金が潤沢であると考えると、この二つの「体験」は中国国内に情報が拡散し流行していくという可能性も高いといえるのではないでしょうか。
一方で「サイクリング」「オートバイ」をしたいと書き込んだユーザーの居住地別構成比TOP5には、冒頭で確認したランクイン回数上位の都市では下位の重慶市がランクインしています。体を動かす体験、モータースポーツに対する関心が高いのかもしれません。
次に、それぞれの「〇〇したい」におけるTOP5都市が占めるシェアが低い「体験」を見てみます。
TOP5都市が占める割合が低いランキング
〇〇したい | TOP5都市の割合 | 〇〇したいランキングの順位 | |
---|---|---|---|
1位 | エステに行きたい | 7.4% | 9位 |
2位 | 撮影をしたい | 7.5% | 8位 |
3位 | ライトアップ(夜景)をみにいきたい | 7.5% | 10位 |
4位 | 和菓子を作りたい | 8.1% | 11位 |
5位 | 日本料理を作りたい | 8.4% | 6位 |
こちらでも同様、TOP5を構成する都市はそれぞれ「体験」によって異なりますので、その点に注意して考察してみます。
まずは「エステに行きたい」「撮影をしたい」となりました。この二つの体験のTOP5の都市は、ランクイン回数上位の都市で構成されています。つまり、ランクイン回数上位の都市のユーザーの書き込み件数の占める割合の低い「体験」だと言えそうです。
ランクイン回数上位の都市には所得が高いユーザーも多いと推測されるので、「エステ」「撮影」はわざわざ日本に行って体験せずとも、居住地の都市で体験できると考えている可能性もあるのではないでしょうか。所得の高い中国の方に選ばれるためには、例えばエステなら、日本でしか受けられない施術であることをもっと打ち出す必要があるのかもしれません。
同様に、「和菓子作り」や「日本料理作り」でも、それぞれのTOP5=ランクイン回数上位の都市(所得の高い地域)のユーザーが占める比率は低いです。所得の高い層は、料理体験には魅力を感じないのかもしれません。
「ライトアップ」の書き込みユーザー数の居住地別TOP5は河北、四川、重慶、河南といった都市です。大都市というよりは成長中の地方都市ですが、この地域のユーザーの占める割合が低いので、日本の「ライトアップ」に対する関心は中国全土に広がっている可能性もあるのではないでしょうか。
まとめ
全7回にわたり、「夏」の日本に関連する消費動向について、「モノ」「コト」両方を取り上げてみてきました。「いつ」そして「何歳の」さらには「どこの」中国人に需要があるのか、ないのか、分析結果からいくつかの仮説が見えてきたのではないでしょうか。
新浪微博のユーザーの書き込みからは、まだまだ日本商品の購入に魅力を感じている方がたくさんいることがわかります。(5)で見てきたように、訪日中国人数が1年で最大になると予測されるこの夏、訪日旅行中の消費意欲を最大限に実現してもらうためには、有料でもいいので子供をあずかるサービスの充実が有効な手立てとなるのではないでしょうか。
また性別や年代によって異なる「コト消費」への意欲についてもデータから確認できました。旅行に来ている同グループでも、異年齢で構成される場合も考えられます。メンバーそれぞれが希望する「コト」を選択できるようなサービスが備わることで、訪日中国人の旅行満足度をさらに向上させ、ひいては日本ファンの囲い込みにつながるのではないでしょうか。
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