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【特集】日本のお菓子ブランド調査(3)~結婚式プチギフトには〇〇が人気!

(2)では、各ブランドのキーワードTOP5から、キャンペーン実施やコンテンツ制作のヒントを探りました。さらに中国のおやつ事情も手伝って、他ブランドだけでなく他カテゴリ商品との差別化が求められる状況であることもわかってきました。

日本のお菓子ブランド調査の最後となる(3)では、書き込みユーザーの属性をブランドごとに分析してみたいと思います。


▼ここまでの2編はこちら!

【特集】日本のお菓子ブランド調査(1)~「〇〇でのシェア」がEC利用者の日常風景

【特集】日本のお菓子ブランド調査(2)~中国おやつ戦争、ライバルはお菓子だけじゃない?

 

【調査概要】
以下ブランドについて、2017年5月~10月の新浪微博上での書き込み(ブランド名での検索、製品名含むものもカウント)を収集
・グリコ
・カルビー
・味覚糖、UHA味覚糖
・明治
・森永製菓
・ロッテ

 女性支持率の高いグリコ、若い世代からママ世代までをカバー?

男女比

男女比を見てみると、女性の割合が最も多かったのがグリコで、その割合は8割近くに及びました。グリコのポッキーは子供や若者に人気ですが、特に女性に人気であることが伺えます。(2)でご紹介した「ポッキーを使って告白する」動画の影響で、今後若い女性からの支持がさらに高まる可能性もあります。

またインバウンド市場ではビスコが人気であることから、ママ世代にも支持されていることが予想され、若い世代からママ世代まで幅広い年代の女性からの支持がこの結果に反映されているとも考えられます。この点については、後ほど見ていく年齢層分布で検証していきましょう。


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次いで女性の割合が多かったのが味覚糖です。(2)でご紹介したとおり、味覚糖に関連したキーワード上位はブランド名、コロロ、グミが占め「味覚糖といえばコロロ」というブランディングが確立されているようですが、そのコロロは女性からの支持が高いことが伺えます。

チョコレートというキーワードが上位に登場していた森永、明治、ロッテは、女性の割合が7割弱とほぼ並びました。やはりチョコレートは女性に人気ということでしょう。

男性の割合が最も多かったのがカルビーです。カルビーはポテトチップスコンソメ味をはじめとしたスナックを中心にインバウンド市場で人気を獲得しており、スナック菓子は男女問わず人気があると考えられます。

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次に年齢層について見ていきましょう。

  カルビー 味覚糖 グリコ
12歳以下 0.0% 3.2% 3.4%
12-18歳 1.4% 23.6% 25.9%
19‐24歳 24.3% 44.7% 42.5%
25‐34歳 43.8% 11.7% 13.2%
35‐50歳 23.3% 9.9% 11.8%
51‐80歳 7.2% 6.9% 3.2%

 

  森永 ロッテ 明治
12歳以下 1.1% 4.8% 1.2%
12-18歳 6.5% 24.5% 7.0%
19‐24歳 21.8% 38.9% 32.4%
25‐34歳 42.5% 23.4% 44.3%
35‐50歳 21.4% 3.6% 13.2%
51‐80歳 5.7% 4.8% 1.9%

自然志向の人から支持されるカルビー

カルビーは、25-34歳の層が一番多い結果となりましたが、その前後の年齢層も20%を超えており、幅広い年齢層からの支持を得ています。

タオバオでカルビーを検索してみると、フルーツグラノーラの他には、じゃがポックルやJagabeeが人気のようです(2017年12月19日現在)。フルーツグラノーラについては、親が購入して子供にも食べさせたり、子供が購入して両親にすすめるなどして家族で食べている様子がうかがえました。また、放課後にクラスメイトと一緒にそのまま食べるという、学生の書き込みも見られました。

じゃがポックルについては、ジャガイモ本来の味やそのカリっとした食感が好評のようで、こちらも家族で楽しんでいる様子がうかがえます。スナック菓子を好まない親世代にも好評という書き込みも見られました。どの製品についても、甘すぎない、しょっぱすぎないといった味付けが受けているようで、自然志向の人たちから支持を得ているのかもしれません。


▼フルーツグラノーラの書き込み詳細についてはこちら

【特集】商品クチコミ6つのファクター (2)勝ち抜けるのは誰?半年間の月次推移まとめ


キャンペーンの成果?若い世代の支持が厚い味覚糖とグリコ

味覚糖19-24歳の層が一番多く、他ブランドと比べて最も多い結果となりました。また12-18歳の層も20%を超えています。

(1)でご紹介したように、コロロを大学やオフィスビルの入り口などで無料配布しWeiboなどに投稿してもらうキャンペーンが実施されていましたが、このキャンペーンはまさにターゲットにマッチしたものと言えるでしょう。あるいは、このキャンペーンの成果が出た結果とも考えられます。学校でクラスメイトにシェアしているという書き込みも実際見られました。

また、その人気は子供から親や祖父母世代にも広がりつつあるようです。零食にあまり手を出さないとされる年長世代にとっては、果物に似たコロロが食べやすく感じるのかもしれません。

グリコも味覚糖と同様の傾向が見られますが、12-18歳の層においては6ブランド中トップとなりました。やはりポッキーの人気は若者が支えているといったところでしょうか。また今回の調査結果からは、ママ世代の割合はまだこれからといった状況のようですが、ビスコの人気によりこれから増加していく可能性も大いにあるのではないでしょうか。

森永、明治のチョコレートは「大人女子」に人気?

森永についてはカルビーと同様の傾向が見られました。キーワード上位に「子供(小孩)」があったように、まさに今乳幼児を育てているママ世代に支持されている様子がうかがえます。また、コロロとカテゴリが類似しているハイチュー学生世代を、質の高いチョコレート大人世代の支持を受けていることも予想されます。

タオバオで森永ハイチュウを見てみると、青りんご・レモンと甘酸っぱい味が人気のようで、桃・ブドウ・イチゴと続いています。やはり主に子どもに人気のようですが、特にレモン・桃については子どもが好きと言うコメントが目立ちました。

ロッテは、12歳~34歳の層に支持されているようです。タオバオで見たところ、チョコレート、グミ、ミルクキャンディ、コアラのマーチ、ガムなどが売れ筋でした。1990年代前半から中国に進出し、以来中国国内で順調に事業を拡大しているロッテは、子供のころからの馴染みの味を提供しているのかもしれません。

明治は25-34歳、19-24歳の順に多く、12-18歳の層は7.0%にとどまりました。森永も12-18歳の層が6.5%にとどまっており、両社とも「大人のチョコレート」というブランディングが定着し始めているのでしょうか。

明治のMelty Kissについて書き込みを探ってみると、結婚式で配るために買ったというコメントが多く見られました。包装がきれい1粒が大きめであることから、結婚式のプチギフトに最適という認識が広まっているようです。また、チョコレート自体もとてもおいしいという書き込みも多く、その評価は高い傾向が見られます。

日本のお菓子、ターゲットは「流行に敏感な人」?

最後は書き込みユーザーの居住エリアTOP5です。

  カルビー 味覚糖 グリコ
第一位 上海市(23.8%) 広東省(9.9%) 上海市(11.2%)
第二位 淅江省(12.1%) 上海市(8.9%) 江蘇省(8.3%)
第三位 江蘇省(7.3%) 山東省(8.5%) 湖北省(6.5%)
第四位 山東省(5.4%) 江蘇省(7.6%) 山東省(6.4%)
第五位 広東省(4.5%) 淅江省(7.6%) 淅江省(5.4%)

 

  森永 ロッテ 明治
第一位 淅江省(19.3%) 北京市(6.4%) 北京市(15.4%)
第二位 上海市(13.2%) 河北省(5.4%) 広東省(8.8%)
第三位 江蘇省(8.9%) 山東省(4.6%) 上海市(7.3%)
第四位 山東省(7.3%) 江蘇省(4.6%) 淅江省(6.5%)
第五位 福建省(6.4%) 湖南省(4.3%) 山東省(5.5%)

※かっこ内はシェア

また、上位5位への集中度は以下のようになっています。

1. 森永(55.1%)
2. カルビー(53.1%)
3. 明治(43.5%)
4. UHA味覚糖(42.5%)
5. グリコ(37.8%)
6. ロッテ(25.3%)

全体的に、上位は沿海部にある都市が多くなっており、日本のお菓子は中間所得層以上に支持されていることがうかがえます。また、上海市や浙江省と江蘇省、広東省、山東省といったところは流行に敏感な人が多いと言われており、おいしいものへの関心が高い人に日本のお菓子がマッチしているようです。

1位が北京市となったのはロッテ、明治ですが、みなさんもご存じの通り、北京市には保守的な方も多いとも言われています。先ほど述べたように、1990年代前半から中国に進出しているロッテは、北京のみなさんに馴染みの味と認識されているのかもしれません。

上位5位への集中度が50%を超えていたのが森永とカルビーでした。朝食にフルーツグラノーラを食べたり、子供のおやつに気を配ったり、結婚式で配るお菓子としてチョコレートをまとめ買いしたりと、都市部の富裕層の生活になじんでいるのがこの2ブランドなのでしょうか。

一方、上位5位への集中度が最も低かったのがロッテでした。ロッテは、(1)でお伝えしたとおり、この半年間書き込みが多くありませんでしたが、これらの結果には、韓国のTHAAD配備問題が影響している可能性があります。今年に入ってロッテのタオバオ公式旗艦店が営業停止と報じられたりしていますが、状況によってまた書き込みも増えてくると思われます。

参考:
真正的老北京人是这样吗?(出典:china.com) 中国語
上海的市民接受新事物的程度如何? (出典:バイドゥ知道) 中国語
青岛人是山东人吗?!(出典:SOHU.com) 中国語
2017/3/1 「韓国THAAD早ければ4月にも配備へ 中国が猛反発」(出典:ニューズウィーク日本版)
2017/3/7  「乐天在中国有多少店?现在有几家乐天关门了」(出典:53貨源網) 中国語
乐天关闭87加门店,你是否还在禁韩的潮流中呢? (出典:百度派) 中国語
北京目前有几家乐天玛特超市,具体地址都在哪呀(出典:バイドゥ知道) 中国語
乐天玛特在江苏为什么那么多(出典:バイドゥ知道) 中国語

まとめ 日本の細やかさが人気の秘訣?

書き込みから、日本のお菓子が楽しまれている様々なシーンや好まれる理由などが浮かび上がってきました。想定外の利用シーンもあり、今後のプロモーションにも役立つのではないでしょうか。

一方で、人気である理由の共通点としては、お菓子自体のクオリティもさることながら、バラエティに富んだ味のラインナップやおしゃれなパッケージ、また食べやすいサイズや包装といった、日本ならではの細やかさがあるのかもしれません。

生活に彩りを添えてくれるお菓子。疲れたときにチョコレートを食べてほっと一息、というシチュエーションは皆さんも経験したことがあるのではないでしょうか。バラエティに富み、パッケージにも工夫を凝らした日本のお菓子は、これからも中国のみなさんの心を癒し続けることでしょう。