中国式七夕に続け! 次の中国独自イベントは「中国式母の日」か!?

経済発展だ、海進出拡大だ!と上り調子に見える中国。しかし、その内側には、あまり表には出せない悩みを抱えています。文化的にも開放が進み、日本や西洋から多くの文化習慣が流れ込んだ中国では、西洋嗜好が広がる半面、あるべきものの姿が消えていっているようです。今年の全人代で提出されたある提案から、現代中国の内面をのぞいてみましょう。

3月に行われた全国人民代表者会議(全人代)。数多くの政策、施策が討論され、可決されていましたが、その中に「やや話題になった」提案がありました。

それは「中国母の日制定」の提案。

もともと現在の母の日(5月の第二土曜日)の起源は古代ギリシャにあると言い、同時に世界各国で、自国の文化に根差した母の日があるようで、「だったら私たちも、中華民族の文化を広めるために独自の母の日を!」ということになったようです。

実はこの議案、2016年にも提出されておりましたが、盛り上がりに欠け、立ち消えになっていたものでした。

どの日を「中国の」母の日とするか

では具体的に、どの日を中国独自の母の日とすればいいのでしょうか?

「この日が」、「あの日が」、「いやいや、こっちのほうが」という議論はありますが、現在大きく2つの候補日が討論されています。

1.女媧が人を造った日

まず提案されたのは「9月15日」。これは、中国最初の女神であり、中国の神話の中で人類を創造したとされている「女媧」(『封神演義』などにも登場している女神です)が人を造った日。ちなみに2016年ごろに同じ提案が議題に上がった時は3月15日の女媧の誕生日が候補でした。

2.孟子の誕生日

今一つ候補として挙がっているのが「農歴4月2日」。この日は孔子に次ぐ聖人と言われている孟子の誕生日です。実は、孟子の母親は中国歴史上トップクラスの「教育ママ」。幼少の孟子の教育環境のために何度も引っ越しをしたり(孟母三遷の教え)、勉強を休んで家に帰ってきた孟子の目の前でキレて織っていた布を引き裂いたり(孟母断機の教え)と、やや過激な手法で孟子に勉学の必要性を叩き込んだ女性。つまり孟子の誕生日としてではなく、「孟子の母親が孟子を生んだ日」という位置づけ。

これに対してネット上の反応は?と言えば、やはりどこか冷ややか。この提案を伝える報道に対しても…

  • 母親を敬うってのが重要で、そこに東洋・西洋関係なくない?
  • それより重陽節(中国の敬老の日)をもっと宣伝したほうがいいんじゃない?

など、こぞって喜ぶのでもなく、「で?」といった反応。

現時点では中国式母の日は祝日指定は受けておらず、やはり議論は下火になっている様子ですが、ひょっとしたら、また2年後ぐらいに再燃するかもしれません。

中国〇〇記念日の裏側にある……

さて、こうした「中国独自の〇〇の日制定」運動はいくつかありました。

例えば「中国独自のバレンタインデーを!」ということで、織姫と彦星が年に一回だけ出会う七夕がめでたく中国式バレンタインデーとなりました。こちらは西洋のバレンタインデーほどではありませんが、商店のキャンペーンなどに使われるなど認知度が高まっています。

また「キリストの誕生日ではなく、新中国の英雄・毛沢東の誕生日を!」という「反西洋イベント、中国の英雄節」運動もありました。ただ、こちらは盛り上がりを見せることなく、過ぎ去っていきそうな勢いとなっています。

こうした中国独自の記念日、伝統的な習慣を祝日化しようとする運動には、やはり昨今の経済的な成長、海外進出が上げられます。しかし、「中国は強くなった!もう西洋式のイベントは要らない」といった勇ましいものではないようです。

現在、中国は良くも悪くも世界から注目され、その一挙手一投足が周囲に影響を及ぼすようになってきました。当然、そうした変化に気をよくしているのですが、同時に海外に目が向くようになり、それぞれが独自の伝統文化を持っていることに触れる機会が増えています。

翻って中国では、特に近年の動乱によって伝統的な習慣や概念は消えつつあり、さらに昨今の若者の西洋嗜好によって、それも顧みられなくなっています。

多くの訪日中国人が日本の伝統文化に感動していますが、口コミ上で「でも、日本文化のいろいろな部分が中国から来たんだよね…」、「中国が失ったものを日本が大事に守っていた」などという言葉も見られ、日本文化に触れる事が「そういえば、自分たちの文化って…?」という問いを引き出す一因にもなっているようです。

日本のメディアでは中国の経済成長と強硬路線などが報道されていますが、その背後には自国文化への「自信のなさ」という一面が隠れているように思えてなりません。

 


▼参考

中国イベントカレンダー③7~9月 ~学生は夏休みと進級~

中国からクリスマスが消える? 忖度が生んだ「西洋イベントの是非」大論争

バレンタイン≠チョコレート (2)え? こんな会社もプロモーション?

 

より詳しい中国情報はこちら
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