【中国消費】 「七夕」は「中国式バレンタイン」 中国新世代のロマンティックニーズ
一年で、あま~い恋人たちの日、と言えば「バレンタインデー」。日本では「2月14日」がそれなのですが、実は中国には2月14日とは別に「中国式バレンタインデー」が存在しています。それは「七夕」。伝統的節句を旧暦で祝う中国では毎年その日が変わりますが(2018年は8月17日)、中国の若者はきちんとチェックして、パートナーとの楽しいひと時を過ごします。もちろん、そのための投資も惜しまないのが最近の傾向。中国のレポートを基に今年の「七夕(中国式バレンタインデー)」の消費傾向を見てみましょう。
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伝統的な「恋人たちの日」
「七夕」と言えば、日本では短冊に願い事を書いて、笹につるして…というのが一般的な風習として残っています。
しかし、中国では『天の川をはさんで離ればなれになった仙女の織女と人間の彦星(中国では牛飼いという意味の“牛郎”)が、一年一度だけ会うことを許された日』という部分がクローズアップされ、ロマンチックな恋人の日となっています。
これは現代に至って設定されたものではなく、古代の文化人たち習慣。現代中国では長く忘れ去られてきましたが、近年に至って「中国の伝統文化を見直そう」という動きと、若者たちをターゲットにした小売り・サービス業界の狙いもあり、「七夕商戦」として広く展開されています。
そのかいあってか、最近は90後の若者たちは「七夕は知っていても、2月14日は知らない」という人も増えているとか。
ロマンチックを求める「七夕」 ホテルとディナーが不可欠
さて、その今年の七夕に関して、興味深いデータが発表されました。
まずは、主にバックパッカーをターゲットとした旅行予約・旅行情報サイト「螞蜂窩」では「90後世代」の2018年七夕の過ごし方に関してのアンケートを行っています。その結果が下のグラフです。
【グラフ】2018年七夕の過ごし方
出所:螞蜂窩データセンターの発表を基に中国トレンドExpressで作成
バレンタインと言えば、日本ではチョコレートですが、中国では「高級ホテルに泊まって」、「高級フレンチコースを楽しむ」といった、「小さな贅沢」、「今を楽しむ」ほうが若い世代に刺さります。
また、今年の七夕商戦で注目されているのは「ホテル」需要です。
中国最大級の旅行予約サイト「携程(C-Trip)」が運営している「携程酒店大学(C-Trip Hotel College)」のビッグデータセンターでは、中国各地のホテルは8月17日~19日に宿泊ピークを迎えますが、「その中、8月17日の七夕当日は最も客数が多い」との発表を行っています。
それによると、今年七夕期間のホテル予約数は去年同期比で200%上昇、夏休み旅行の最後のピークになりました。
ちなみに「ホテル予約の60%は女性ユーザーによるもの」とのこと。ただ、中国式バレンタインに限らず、恋人間のイベントは男性が「男気」を見せるのがルールの中国。おそらく泊まる場所を決めるのは「女性」ですが、支払いは「男性」なのかもしれません。
今回、特筆すべきはホテル予約を利用したユーザーの半数以上が、いわゆる「95後世代(1995年~1999年に生まれた世代)」であったこと、さらにはそのホテル選びの特徴が他の世代とは異なっていたことです。
これまでの「いいホテル」、「高級ホテル」の判断基準は「星付き(基本的に3つ星以上)」であるとか、「世界的に有名なホテル(例:ヒルトン、マリオット、ペニンシュラなど)」でしたが、95後世代が好むのは「アートホテル」や「デザイナーズホテル」など、テーマ性を持ったホテル。
こうした個性的な、アート感のあるホテルは、よくSNSなどで話題になっていることが多く、SNS情報(いわゆるクチコミ)の影響を強く受ける95後世代の特徴が現れているようです。
「七夕のロマンチックな旅」ニーズ。ムードさはより自然派へ?
上記を見ると、豪華さに個性を加えたニーズともいえるかもしれませんが、その様子がほかのデータにも表れています。
七夕はちょうど夏休み中ということもあり、「2人で旅を」という消費者も多いようですが、そこには現在の消費者の旅ニーズが見えてきます。
下の表は、螞蜂窩で七夕シーズンに向けて注目度が高まっている国内の観光地です。
【表】注目度急上昇の観光地
順位 | 観光地 |
---|---|
1位 | 豊寧壩上草原(河北省) |
2位 | 北戴河秦皇島(河北省) |
3位 | 東極島(浙江省) |
4位 | 千島湖(浙江省) |
5位 | 鳳凰(湖南省) |
出所:螞蜂窩データセンターの発表を基に中国トレンドExpressで作成
上海など、中国でも有数の華やかな大都市ではなく、草原や湖、島という、自然豊か、風光明媚な観光地が注目されていることがわかります。
また、海外旅行においても同様の動きが見えます。
中国の場合、「お盆休み」という概念はありませんが、有給などを利用し夏休みを取得。近隣へ遊びに出かけることも多くなっています。
その最中である2018年の七夕でも、同様に海外旅行を考える消費者(主に若者)が多いようです。螞蜂窩では、そうした「七夕シーズンの海外旅行」も発表しています。
【表】2018七夕シーズン注目の海外旅行先
順位 | 目的地 |
---|---|
1位 | 香港 |
2位 | シンガポール |
3位 | マカオ |
4位 | バリ島 |
5位 | 東京 |
6位 | 大阪 |
7位 | モルディブ |
8位 | センポルナ |
9位 | サイパン |
10位 | サムイ島 |
出所:螞蜂窩データセンターの発表を基に中国トレンドExpressで作成
TOP3は中国から手軽に行ける香港、シンガポール、マカオが並んでいますが、それ以下は、東京、大阪を除くと、ほぼ南国のビーチリゾートとなっています。
夏という季節柄、旅行先には「海」が好まれますが、七夕に合わせた旅行と考えると、価値観の変化を読み取ることができます。
高級ホテルやディナーといった物的な豪華なロマンを楽しむと同時に、「草原で星空を眺める」、「美しい海岸を楽しむ」、「青い海を見つめる」といった、心をいやす自然に包まれるロマンを求めていること、SNS映えを意識したフォトジェニックという点を重視していることが読み取れます。
中国の若い世代、特に95後世代は、中国SNS、特にKOLによる情報発信の影響で、より個性的な消費傾向があり、またそれに対して積極的にお金を使う傾向があります。
それが、「七夕」という伝統行事にも色濃く表れているのです。
▼参考
马蜂窝:大数据剖析90后如何过情人节 出所:199IT(中国語)
2018年七夕酒店预订量同比增200% 95后成订房主力军 出所:199IT(中国語)