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【中国APP】イマドキ中国女子のケータイの中、ノゾいてきました③~インバウンドマーケ効果も? TikTokの使い方~

今、世界を席巻している中国発のAPPと言えば「TikTok」。中国では日本に先駆けて若者に広まっていきましたが、今どきの中国女子たちはこのアプリをどのように使っているのでしょうか?上海での現地取材からは、日本とは若干異なった様子が見えてきました。

イマドキ中国女子のケータイの中、第3回はTikTokの使い方についてまとめてみました。


▼第1回、第2回はこちら
【中国APP】イマドキ中国女子のケータイの中、ノゾいてきました①
【中国APP】イマドキ中国女子のケータイの中、ノゾいてきました② ~中国女子に刺さるプロモストーリーとは?~


そもそもTikTokってなんでしたっけ?

TikTokとは、中国のソフトウェアメーカーである「字節媒体(バイトダンス)」による、ショートムービーアプリ。誰でも音楽に合わせて、15秒の動画をアップロード、共有することが可能です。

日本でもローンチされるや否や、学生などの若者、さらにはダンスユニットやヒップホップダンサーといったアーティストがアカウントを開設。自己表現のひとつとして瞬く間に浸透し、2018年には「流行語大賞」にノミネートされるまでになりました。

イマドキ中国女子にはほぼ必ずTikTokがダウンロードされている

人気アプリも使用に戸惑いも?

さて、このTikTokをどのように使っているのかを、89年生まれ1人を含む中国のイマドキ女子に話を聞いてみました。

まず「見る派」か「アップする派」では、今回お話を聞いた女性全員が「見る派」でした。見方としては「ちょっとした時間の合間に眺めている」という回答がほとんど。

 

ただ、「当初はダウンロードしたけれど、すぐにアンインストールしちゃいました」(89年生まれ)という声が最初にありました。

その理由は「ローンチした当初は、“女性の動画”ばかりでちょっと…」というもの。

中国のライブ動画も当初は「美女とおしゃべりするスペース」という使い方がもっぱらでした。やがてそれが現在でいうKOLやライブコマースと言った情報発信、マーケティングツールとして機能し始めるようになり、現在のような中国のライブ・ショートムービー市場が成立していったという背景があります。

TikTokもその例に漏れず、まずは中国の美女たちの活躍の場となったようです。

 

TikTokの使い方としては、動画を上にスワイプしていくことで簡単に次の動画へ進むことができるため、短時間で多くの動画を見ることができます。そうして「気に入った動画が見つかると繰り返して見る」(90後デザイナー)のコメントに代表されるように、自分のお好みの動画を見つけるとのこと。

ただ、この使い方には少し戸惑いもあるようです。

「一回動画を見ると、関連した動画ばかりが表示されるようになって、正直ちょっとウザい…」(90後看護学生)という声も。

リターゲティングはこうしたアプリやWEBにおけるマーケティング手段ですが、TikTokに関していえば「ちょっとやりすぎ」という印象が消費者にはあるようです。

 

もう一つは「人のマネが多すぎて、見ていてつまらない」(90後デザイナー)という声もありました。結局、1回見てしまうとリターゲティングで追いかけられたり、表示される動画も関連した動画のマネっこ動画で、少々ウンザリ。

結果として見るものと言えば「イヌ・ネコのほっこり系動画」や「料理」といった、癒し系動画が中心になってしまうというのが、今回のお話でした。

TikTokも情報収集ツールとして活用。さてどんな情報を?

とはいうものの、それは最新のアプリ、そして中国のネット世代である90後の方々、TikTokに関しても「有益な使い方」を見出しているようです。

 

まず一つ目は「観光情報」の収集。

現在は中国でも拡大している観光市場。各地に人気スポットが誕生し、なかでもインターネットやSNSを通じて有名になったお店などは「網紅店(直訳するとKOL店ですが、人のKOLとは関係なく、KOLのようにSNSを通じて有名になった人気店という意味合い)」と呼ばれています。

ただ、こうしたお店が「本当にいいの?」というのは

こうした情報を手に入れるのに使っているのがTikTokとのこと。実際にその場に行った人が動画として感想を含めてTikTok上にアップする。それは、宣伝とは異なる「クチコミ情報」なのです。

特に現場にいる状況をアップした動画は、見ている側にとっては目的のお店もしくは観光スポットに関する情報の真偽を確かめるには非常に有益で、「本当に良かったどうかを確認するための情報源」(90後デザイナー)となっているようです。

こうしたTikTok上の観光情報、現時点では「まだまだ海外スポットの情報は少ない」(89後)とのことですが、上手に活用すればインバウンドマーケティングの一環として利用できるかもしれません。

 

もう一つは「学習」。

89後の女性からは「TikTok上には外国語やビジネスにおけるちょっとしたノウハウや、カルチャー、アートと言った教養面など、多様なアカウントがあるのでそれを見ていることも多いです」というコメントがありました。

こうしたアカウントを利用して、自分のスキルや教養を高めようという意識も強いようです。特にショート動画であれば移動中などの短時間でも見ることができるため、利便性も高く、ビジネスパーソンには人気となってるようです。

 

中国では若い世代を中心に普及しているTikTok、そのマーケティング活用にも期待が持てそうです。ただし注意が必要なのは、中国の消費者が「広告に抵抗を感じている」こと。

今回のインタビューでも「ちょっと広告っぽい内容が入ると飛ばしちゃう」(90後デザイナー)、「広告は見ない」(90後看護学生)など、広告=避けるもの、という意識が浸透している様子。

それでも「クオリティが高い動画だったら見ちゃうかも」といった、その内容次第ではチェックするという声もあり、TikTokにおいても「ツールよりも内容、クオリティ重視」のマーケティングが求められそうです。

蘇州市内の百貨店で見かけたTikTokを使ったキャンペーンの告知

さてさて、3回で終わる予定だったこの企画でしたが、イマドキ中国女子のケータイの中には、日本では知られていないアプリがまだまだありました。

そこで次回は1回の番外編、イマドキ中国女子が使うローカルアプリを紹介していきたいと思います。