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【中国APP】イマドキ中国女子のケータイの中、ノゾいてきました①

大きな消費能力と意欲を持つ中国の若い女性層。しかし彼女たちがどんな価値観で、どんな情報をどのように集めているのか、興味はあるものの、なかなか想像もつかないのが現状。そこで中国トレンドExpress(CTE)編集部は上海へと足を運び、中国のイマドキ女子たちに直撃リポート。彼女たちの情報源たるスマホの中身をコッソリ教えてもらいました。

中国イマドキ女子のケータイをノゾいてみれば、中国の市場が見えてくる。そんなレポート記事を3回に分けてお伝えします!

取材日時:2019年1月
取材場所:上海市および江蘇省蘇州市
取材対象:中国90後世代の女性


急激に拡大した中国のネット&モバイル市場

中国若者のAPP事情を見ていく前に、まずは基礎知識の確認。中国のネット普及率とモバイル普及率を見ていきましょう。

 

【グラフ】中国のネット普及率とモバイルユーザーの割合

このグラフを見ると、ネットユーザーが中国人口の半数を占めており、そのなかでモバイルユーザーが95%を占めているとなると、都合7億人程度がモバイル端末を有し、利用していると考えられます(日本のスマートフォンの普及率:2017年3月時点で77%程度)。

インターネットの普及は中国が国策として推し進めてきた部分がありますが、モバイル化に関しては2008年~2009年にかけて急速に進行しています。

理由はもちろんiPhoneの普及。

最新鋭のモバイル端末は流行に敏感な若者層やステイタスを重視するビジネスマンに広まっていきました。さらにiPadなどの端末の販売、そしてHuaweiやXiaomi、OPPOなどのコスパの良い国産スマホが登場すると、その速度はさらに加速していったのです。

またこうした世界で普及しているモバイル端末の多くは中国で生産されており、広東省などではほぼすべてのスマホの部品が手に入ることから、「ノーブランドスマホ」も数多く出回っており、沿岸部・地方の区別なくスマホが広まりました。

そのためスマホにダウンロードするAPPの数、ダウンロード数も世界でトップクラスの「モバイル・APP先進国」となったのです。

友達との連絡はもちろん「WeChat」、そして意外なアプリも?

さて、そんなスマホにどんなAPPを入れているのか、お話を聞いてきました。

お話を聞いた方々の必須APPはもちろん「WeChat」。普段の友人同士の会話、買い物、モーメンツ機能による自己表現など、様々な機能を使って楽しんでいるようです。

 

中国のチャットアプリはこれ一択と思いきや、現在、医大生として蘇州の民営病院で研修中の2人の女性からは思いもよらぬキーワードが上がってきました。

 

それは「QQ」。

 

「QQ」とは、いわば中国初のチャットソフトで、1999年に現在のWeChatを開発したテンセントが「Tencent Instant Messenger」として提供し始めたチャットソフト。2000年に名前を「QQ」へと変更し、中国のインターネット業界を席巻。テンセントの「中国チャットアプリの開祖」としての地位を固めたソフトでした。

当時はスマホどころか携帯も普及していない時期であったため、PC用のチャットソフトとして「MSN Messenger」(今はSkypeに吸収されたチャットシステム。懐かしい!)と併用されていました(日本語版もあります)。

その後、モバイル版も登場したのですが、やはりWeChatに押され、てっきり見なくなったと思いきや、現代大学生の口から聞かれるとは…。

 

90後女性のスマホ画面。SNSをまとめたフォルダにもQQのペンギンマークが見える

理由を聞けば非常に簡単。大学の先生が生徒への通達用にQQでグループチャットを作っているからなのだとか。しかし、グルチャならWeChatでもいいのでは?と思うのですが。

「QQのグルチャは発言制限機能が設定できて、先生以外は発言できないようになっているんです。その方が通達事項だけをきちんとみられるようなるので」。

 

なるほど。さらに考えれば彼女たちを管理する大学の先生(教授ではなく学生管理課など)たちは多くが学生時代にQQを使ってきた70後や80後前半世代。こうした機能については90後たちよりも詳しいというのもあるかもしれません。

すでに時代が過ぎ去ったチャットAPPという感がありますが、チーターモバイルの調査でもQQは依然としてダウンロード数TOP3に入っています。

長い歴史を持つAPPが強い人気をほこるその理由が、ここにあるようです。

 

【表】中国のSNS&ECサービスと消費者の世代

情報収集に欠かせないのはもちろん「Weibo」&…

気になるのが、昨今の若者情報収集。そのツールについて聞いてみました。

まず全員が入れているアプリといえば「Weibo」、そして「小紅書(RED)」でした。やはり消費者の生の声を聴くには、この2つは欠かせないようですが、その使い方はこの5~6年でやや変わってきているようです。

 

まずWeiboについて聞いてみると、「見ている」や「KOLをフォローするからダウンロードしている。」という回答でした。

 

では小紅書についてはと聞くと「主には一般ユーザーの書き込みをチェックしています。」(デザイン会社勤務 89年生まれ)という回答。小紅書にもKOLの公式アカウントは多くあるのですが、注目は普通のユーザーの書き込みなのだそうです。

また、90後の医大生は「小紅書は化粧品がTaobaoより安いからダウンロードしています。でも見るのはやっぱり普通のユーザーの書き込みですね。」とのこと。一緒に話を聞いたクラスメイトも「小紅書の普通の人の情報のほうが詳しい感じするので、そちらをチェックしています。」と語っているように、

 

全体を通して確認できたのは

  • Weibo:メディア、女優や俳優などの著名人、KOL、企業の公式アカウント
  • 小紅書:普通の人の発信

という図式で、どうやら彼女たちはWeiboでofficialの情報を集め、それを小紅書の一般ユーザーの書き込みで確認している…という使い方がおぼろげながら浮かんできました。

これまで日本が考えていた「Weiboすなわち消費者の声」というイメージとは若干ずれがあるような印象です。

 

次回は使い方をもう少し深掘りしながら、その背景にあるWeiboの変化、そしてそうした状況を鑑みた中国の消費者の情報分析プロセスを分析してみたいと思います。

▼次回はこちら
【中国APP】イマドキ中国女子のケータイの中、ノゾいてきました② ~中国女子に刺さるプロモストーリーとは?~