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【中国SNS】618直前も展開されているWeibo「話題ページ」 成功のカギは「遊びゴコロ」のある言葉

間もなくやって来る618、そして下半期には中国最大の小売りイベント・ダブルイレブン。その商戦から中国市場全体を通して活用が始まっているWeiboの「話題ページ」。

日本の企業でもすでに活用例も増えていますが、今回はその話題ページ活用のキモ。「言葉選び」について考えていきたいと思います。

Weiboにおける「話題ページ」とは?

まず簡単におさらいを。

Weiboの「話題ページ」とは、特定のキーワードを2つのハッシュタグ(#)で囲むことで、そのキーワードをテーマとしたページが自動的に作成されます。

それがWeibo話題ページと呼ばれるもの。

このページが出来上がると、そのハッシュタグをつけたすべての投稿がこのページに集約されるようになります。

 

実際にWeiboの話題ページセグメントを見てみると、社会で注目されている事件、ネット上で飛び交っているお笑いネタ、人気ドラマ・芸能ネタなど、非常に幅広いテーマの話題ページが出来上がっています。

一つ一つの「話題」にはページ閲覧数や投稿数が表示されていますが、人気のテーマでは閲覧数が数千万から数億、投稿件数も数千件から数万件にページも散見されます。

「話題」の総合ページではユーザーの共感や興味を引く内容がランキングされている

これは、1つのテーマの投稿をまとめることで、ユーザーが広く議論を行うことができるようになるためのものですが、中国のWeiboユーザーに話を聴いてみると、自分が話題のハッシュタグをつけることで、自分の投稿が話題ページに表示されると「流行りの話題への参入感、あとは自己表現の満足感を得られる」(80後男性)そうで、それがより多くの参入を呼んでいるようです。

 

もちろん、すでに多くの企業がこちらの話題ページを活用したプロモーションを展開しています。

これは上述の消費者の「参入感」を利用し、商品や季節性キャンペーンのより高い認知度、ファンの拡大、そして売り上げにつなげようというもの。

 

話題ページはハッシュタグをつけることで自然に形成されますが、企業の場合はそのページに管理人を設定し、企業や商品イメージ合わせたデザインを行うことができるため、ブランドイメージを深く浸透させることが可能なのです(その企業がWeiboの公式アカウントを有していることが条件)。

 

実際、まもなくやって来る618商戦に向けてOlayはこの話題ページを活用。Weiboの検索において「618」と検索すると、同社話題ページのキーワードが表示されるような施策を行うなどの徹底度合いで展開しています。

Olayも618に向け話題ページからT-Mallへの動線を組み込んだ施策を展開中

企業の場合、追加費用でEC店舗へのバナーをつけることができるため、商戦においてはそのまま売り上げ促進へ活用することができるのです。

悩む!キーワード~中国に刺さる言葉の選び方~

この話題ページのコアとなるのが「キーワード」選び。すなわちハッシュタグで囲むキャッチコピーをどうするのか、です。

 

話題ページのレギュレーションとして定められているのは

1.     記号はダメ。例:@[]<>&’”など

2.     文字数は4~32文字

というものだけで、例外は自由に設定することができます。

 

中国語(漢字)で32文字というと、意外に多くの情報を詰め込むことができそうですが、これはあくまでも規定上そうなっているだけ。

こうしたコピーは広告同様、一目で判別できる長さがいいもの。そのために、10文字程度で納めるのが良いとされています。

 

ただ、もっと悩むのがその言葉。

 

多くの企業は「プロモーションだから」と、自社名やブランド名、商品名、またそれらを連想するような言葉を入れたがりますが、それは時には逆効果を生んでしまうことも。

逆に効果的なのは一件するとあまり意味が分からないものの、好奇心をそそられる文字。

例えば

#欠你一句对不起#(言い忘れてしまった“ゴメンね”)

#各地霸气街名#(各地の気合の入った地名)

#一句话吐槽身边的奇葩#(近くのヘンなヤツに入れたいツッコミを一言で)

などなど、パッと見て「なんだこりゃ?」、「おもしろそう」といった好奇心や興味をそそるキーワード、遊び心のあるキーワードであることが、注目を集めるコツ。

キャッチコピーと言っても商品の訴求を目的とするものではなく、ユーザーが面白がって、もしくは好奇心に惹かれて「参加する」ことを促進するのが目的。必ずしも自社の商品やブランドを匂わせる必要もないのです。

 

また、もう一つ注意したいポイントが、「汎用性」。

もちろん618やダブルイレブンなどの大型商戦に向けた話題ページキャンペーンでは、直接的な売り上げにつなげるためのキャッチコピーを設定する必要があります。

 

例えば今季618のOlayの話題ページコピーは「618疯抢小白瓶(白の小瓶は早い者勝ち!)」。このキーワードで商戦中のメイン商品および「早く買わなきゃ!」という気持ちの醸成、またプレゼントを併用していることによる話題ページのさらなる盛り上がりを図っています。

618に特化したOlayの話題ページ。強いブランド力があればこのような商戦対策用の利用も可能だが…。

しかし、これは「Olay」というブランドがすでに中国消費者に浸透しているからなせるワザ。もし長期的なブランドを考える場合には、一つのキャッチコピーを長く使えるようにするのが一番有益です。

 

話題ページはいったん作成すると、期間無制限で存在し続けます。1つのキャンペーンを終えた後に別キャンペーンを展開する際に再活用することができます。

その際に、別のキャッチコピーを設定してしまうと、新しい話題ページが作成されてしまい、統一化されたブランディングにとっては不利な状況に。

 

そのため、キャッチコピーを考える際には、「今その時だけ」の物ではなく、時節にあまり左右されないキーワード選び、キャッチコピーの作り方を行うことが必要でしょう。

悩んだキーワード選びにクチコミ分析がヒントを

さて、その話題ページのキャッチコピー選び、中国語を母国語としない我々にはなかなか選定が難しいものです。

そのため、日本の企業で話題ページキャンペーンを展開する場合、現地のベンダーを利用することになると思います。その際にも上記のような視点で提案を選別する必要があるでしょう。

 

またキャッチコピー選びのもう一つの方法は、クチコミ分析を活用してみるというもの。

 

ある化粧品ブランドでは話題ページの活用にあたり、まさにキーワード選びに悩んでいました。その時に頼りになったのが自社の商品がどのような印象を持たれているかを知るために行ったクチコミ調査。

クチコミの上位は主に使用感。ポジティブな内容が多かったのですが、他社との差別化という点ではやや決め手に欠いていたそうです。

しかし、キーワードのランキングを見ているうちに、商品のパッケージに関する好意的なクチコミが多いことに気づきました。

「これだ」というわけです。

 

そのブランドは商品の機能ではなく、パッケージを盛り込んだ話題ページキーワードを設定。その話題ページを盛り上げるKOLによる拡散、プレゼント企画を展開した結果、当初に設定した目標を大幅に上回る成果を上げたと言います。

 

自社の特徴を表し、かつユーザーが楽しんで参加したくなる遊び心のある言葉の選定できた好例と言えるでしょう。