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【双十一】2017年中国ダブルイレブン振り返り(後編)スキンケア、アパレル、スマホ売上ランキングとSNS上の消費者の声

前半では、様々なセールの模様をご紹介しました。

【双十一】2017年中国ダブルイレブン振り返り(前編)キャンペーンは手を変え品を変え、従業員の採用枠発表も

後半では、ダブルイレブンの実際の売上ランキングと合わせて、SNS上の消費者の声を拾っていきたいと思います。

祭りの熱狂冷めやらぬ、特設サイト

ECサイトにおける最大のお祭りと言っても過言ではないダブルイレブン、11月11日の0時3分の段階で、天猫(Tモール)の取引額は100億元を超え、当日午前9時の段階でなんと1000億人民元を越えました。2016年の1日の総売り上げが約1200億元であったことと比較するとその市場の拡大を感じ取れるのではないでしょうか。

最終的には総取引額1682億円となり、前年比で39%増加となりました。

開始10分間におけるスタートダッシュの売れ行きを中国国内の省別に見ると、1位が広東省、2位が浙江省、3位が江蘇省、となっています。都市別では、去年と同じく上海、北京、杭州がトップ3を占めました。

また、消費者が好む海外製品の原産地を見ると、トップが日本、次にアメリカ、3位ドイツ、4位オーストラリア、5位韓国となっています。

参考:
ダブルイレブンのECサイト取引額がまたもや記録更新 天猫が9時間で1000億人民元を突破(出典元:光华网) 中国語

Tmallには、ダブルイレブンのあとも「楽しみは続く」とうたう特設サイトが公開されています。

▲ダブルイレブンの楽しみ続く 消費者に感謝の大規模フィードバック
https://pages.tmall.com/wow/act/18132/goodbye?wh_weex=true&from=zebra:offline

このサイトでは「ダブルイレブンで100元以上の支払いを行ったカスタマーには、モバイル版タオバオにて使えるクーポンをプレゼント」といったキャンペーンが開催されています。ダブルイレブン期間だけにとどまらないサービス提供で、引き続きオンラインショッピングに関心を抱いてもらおうという姿勢がうかがえます。

中国最大のEC関連ニュースサイト、商品部門別ランキング 中国勢快進撃!

中国最大のECビジネスニュースサイトであるebrun(億邦動力網)のダブルイレブン特設ページでは、今回のダブルイレブンでの「商品部門別の売上ランキング」が紹介されています。

本編では、同サイトよりいくつかランキングを紹介します。

まずは、このランキングで今回、中国人が驚きと喜びの声を禁じえなかった「スキンケア部門」の結果を見てみましょう。

【スキンケア部門】

(カッコ内はブランドの本店)

1 PECHOIN/百雀羚(中国)
2 CHANDO/自然堂(中国)
3 SK-Ⅱ(日本)
4 OLAY(アメリカ)
5 LANCOME(アメリカ)

名立たる有名ブランドを軒並み下して、中国ドメスティックブランドが堂々のワン、ツーフィニッシュとなりました。

1位のPECHOIN百雀羚は、上海で1931年に生まれた老舗ブランドで、安心のオリエンタルスキンケアの理念の下で天然素材を使用したスキンケア・コスメブランドです。女優のリー・ビンビン(李冰冰)や歌手のジェイ・チョウ(周杰伦)がブランドの顔を務め、ダブルイレブンの天猫スキンケア部門3年連続1位を獲得する人気ブランドです。

新浪微博でも、「使いやすくてお手ごろ価格の中国製品が多くの人に受け入れられるのは、とても嬉しい」という声や、「本当にかわいい!乙女心をくすぐられる!来年も絶対買う!」という声が見られ、その人気がうかがえます。

▲ダブルイレブンでの売上を祝うサイトトップページ
百雀羚公式サイトより
http://www.51870.com/?tar_foid=db4f8088-cb9d-bd38-8e53-9aee7eb65dd1&tar_channel=

ただし、同SNS上には#百雀羚双十一欺#(百雀羚ダブルイレブン消費者詐欺)」というタグもあり、合計でこのトピックは79.8万回閲覧されています。(2017年11月27日確認)

ハッシュタグでは「5本セットのはずが3本しか入っていない」という声や「セット商品に入っているはずのBBクリームがなかった」という意見が投稿されていたほか、「カスタマーサービスもきちんと対応されない」、「返品可の商品なのに、返品を拒否された」などクレーム対応に不満の声が出ています。

中国での消費者目線のありか、EC事業での舵取りのポイントがうかがい知れる一幕となったようです。

キッズ、メンズ、インナーでも中国市場をおさえる〇〇がレディースアパレル第1

アパレルのレディース部門では、やはり「ユニクロ」が今年も1位を獲得しました。

ユニクロはレディースだけでなく、キッズ部門、メンズ部門でもそれぞれ10位以内に入っています。インナーウェア部門では、トップ3にくいこんでいます。

【レディースアパレル部門】

1 UNIQLO(日本)
2 Vero Moda(デンマーク)
3 ONLY(デンマーク)
4 Eifini/伊芙丽(中国)
5 HSTYLE/韩都衣舍(中国)

レディースアパレルではスキンケアと異なり、トップ3は海外ブランドがランクイン、4位に中国ブランドが現れます。


▼中国のファストファッション事情はこちらからチェックできます

世界のアパレルブランドひしめく巨大マーケット中国


4位のEifini/伊芙丽は、「モダンでロマンティック」がコンセプトの中国発の女性向けアパレルブランドです。フランス人デザイナーと提携したデザインチームによるデザインで、トレンドを取り入れ細部にこだわった高品質な商品を販売しています。

▲TmallのEifini/伊芙丽店舗トップページ。

このブランドの服を購入した女性は「11日深夜に杭州から発送、朝の9時にはハルビンに到着!ロケットで来たの?」という投稿をしており、南方の都市から中国最北の行政区黒竜江省まで一日足らずで到着する驚きの配送サービスとなっていることがわかります。

いつもは苦戦のAppleがセールではトップに!

スマホで通話する男性

最後に「スマホ」ランキングです。

1 Apple(アメリカ)
2 シャオミ(小米)(中国)
3 honor(中国) ※HUAWEIの売り出している下位モデル
4  HUAWEI (中国)
5 vivo(中国)

1位にApple、8位に韓国のSamsungがランクインしていますがそれ以外はすべて中国のメーカーとなりました。

化粧品やアパレルとはうってかわって、国内メーカーへの高い支持が見て取れる結果となりました。中国スマホ市場では中国メーカー勢におされAppleが劣勢であることはすでに見てきたところですが、「セールであればAppleを買いたい」という消費者の志向がうかがえます。


▼iPhone8も苦戦、中国でAppleが中国ブランドに打ち勝てない事情とは

iPhone8が人気奪還できない3つの理由 ~ユーザーにとって最重要機能は○○、中古市場の発展も~


参考:
天猫ダブルイレブン最終ランキング到着(出典元:ebrun) 中国語
2017天猫タオバオダブルイレブン特設サイト(出典元:ebrun) 中国語

反省点も見えてきたショッピング体験、来年には来年の形

沢山の靴を目の前に戸惑う女性

10月のECレポート、「月餅とカニ、ECサイトは温故知新でターゲットに訴求」でもお伝えしたとおり、今年は生鮮食品に力を入れるECサイトがいくつも見られ、配送整備により食品類の売上も大幅にアップしています。しかしこれらのサービス展開に対し「ほとんどが送料別なので、あまりお得感がない」という声や、「クーポンを獲得できない」というネガティブなコメントも見られます。

今回の売上記録更新の陰にも「必要もないのについ買ってしまった」、「欲しいものを買えなかった」、「間違った商品が届いた」という消費者の声が多数あがっているそうです。返品額は公表されていませんが、記録となる「取引額」が必ずしも実際の売上と同額になってはいないということは事実でしょう。

このところ中国のメディアで時折見かける「理性的な消費」という概念があります。勢いまかせや大量に買うのではなく、必要なものを必要なだけ購入しようという時流が生まれつつあるのかもしれません。こういった考えが消費行動の主流になったとき、この「ECのオリンピック」はどのようなトレンドで対応するのでしょうか。

「まずやってみて、それでだめなら改良」が基本、そして変化の速い中国市場だけに、2018年の「双十一」は今年と異なる様相を呈するのかもしれません。

参考:
分析:アリババの天猫「ダブルイレブン」はなぜ毎年売上を伸ばせるのか(出典元:BBC中国) 中国語
11日14時: 天猫ダブルイレブンスペシャルポイントプレゼント 中国語