【中国APP】15秒に日中の若者が熱狂 中国初のアプリTikTokが人気拡大中
日本以上のスピードで急成長した中国のモバイル、アプリ市場。特に「95後(after 1995世代)」の若者たちには、モバイルのない生活は考えられないほど浸透しています。同時に、その人気アプリの移り変わりも激しく、名前も聞いたことのない新しいアプリが急速に浸透していくことも。今回はその中国のアプリ市場2018年第1四半期の様子をモバイル調査機関「チーターモバイル」のデータを基に見てみましょう。
※用語解説
■週間アクティブ浸透率
チーターモバイル独自の指標。APP市場全体のアクティブユーザーのうち、何%がそのAPPを利用していたか。
■周平均起動回数
そのAPPのアクティブユーザーが、1週間で何回そのAPPを起動させたか。
■日平均利用時間
アクティブユーザーが1日に平均何分間そのAPPを利用していたか。
▼関連記事
【中国APP】初期の……なイメージを払拭 EC市場ともリンクし拡大中のライブ動画APP
【中国APP】2大APP時代 モバイル決済も
2018年Q1ショートムービーAPP動向
中国のAPP市場は、今や世界一の規模を誇るまでになっています。その市場規模は2016年時点では250億ドルと言われていましたが、業界でその推移を分析すると「2020年までに420億ドルに成長」と予想がされています。
APP Annieの調べでは、日本の2017年APP消費額は130億ドルとみられていますが、それと比べても中国のAPP市場の大きさがわかると思います。
中国のAPPの内、日本でも注目されているのは「視頻APP」、すなわち「ショートムービーAPP」です。2018年Q1では以下の通りの結果となっています。
2017年はこうしたショートムービーAPP市場にも「ライブ」の波がおしよせ、「火山」や「快手」人気ショートムービーAPP、さらには新進気鋭のAPP「抖音(TikTok)」までがライブ動画に参入するといった変化もありました。
中国ショートムービーAPPの2018年Q1アクティブ浸透率ランキング
APP名 | 週間アクティブ浸透率 | 周平均起動回数 | 日平均利用時間(分) |
西瓜視頻 | 17.67% | 111.8 | 60.6 |
火山小視頻 | 13.44% | 169.8 | 50.1 |
快手 | 13.02% | 299.3 | 27.9 |
抖音短視頻 | 6.32% | 106.3 | 50.7 |
波波視頻 | 5.53% | 151.7 | 81.1 |
快視頻 | 3.10% | 44.4 | 30.3 |
好看視頻 | 2.05% | 19.2 | 21.7 |
内涵段子 | 1.80% | 129.9 | 51.6 |
美拍 | 0.49% | 33.5 | 8.6 |
看点小視頻 | 0.39% | 109.3 | 62.2 |
土豆視頻 | 0.31% | 23.3 | 21 |
快視頻-小米 | 0.29% | 11.5 | 9.6 |
最右 | 0.23% | 231.7 | 28.3 |
好兎視頻 | 0.16% | 20.4 | 7.9 |
秒拍 | 0.12% | 13.6 | 14.9 |
ここでは、最近は日本でも一世を風靡しつつある注目APPとして「TikTok」について考えていきたいと思います。
そもそも「TikTok」とは
まず「TikTokって何?」というお父様たちのために概要をご紹介。
このAPPは、いわゆる「音楽動画コミュニティ」と呼ばれるもので、15秒程度の自身で撮影したミュージックビデオをアップし、共有していくというもの。特に有名アーティストの音楽に合わせて口パクで歌いつつ、パフォーマンスをするというスタイルが若者に人気のようです。
ニュースAPPとして知られる「今日頭条」が2016年末にローンチしてから、半年で日平均新規ユーザー97.8万人という数字をたたき出したAPPであり、その人気ゆえにあのWeiboの警戒を招き、Weibo上での拡散ができなくなったとの逸話も生まれました。
▼参考
Weibo VS TikTok 中国SNSの開祖と新進気鋭音楽共有APP 仁義なき戦い勃発???
市場に登場してから間もない2017年2月の単月アクティブユーザー浸透率も14%台と、高い数値を記録し、そのダウンロード後7日間の「生存率(ユーザーがAPPをアンインストールせず使い続けている率)」も約74%と、新しいAPPとしては驚異的な数値を残しています。
マーケ活動は人気の後?口コミで広がったユーザー
この新しいAPP「TikTok」がここまで人気となったのはなぜでしょうか? 中国でも多くの専門家が研究しています。
一つは同APPのマーケティングモデルについての研究です。TikTokのバックにいるのは「今日頭条」という、中国でも人気の高いニュースアプリであり、以前は「西瓜視頻」を育てたことでも知られています。
しかしTikTokに関しては、ローンチから2017年3月まで、目立ったマーケティング活動はほぼ行われていませんでした。
その月にTikTok上で、中国の「相声(漫才)」役者・岳云鵬のモノマネで人気を集めたブロガーが、岳云鵬本人のWeiboで「いいね」とつぶやかれたことで火が付き、それが口コミで広がっていったのです。
その後、市場で口コミをもとにした人気が拡大していくのに合わせて、同APPのプロモーションをオンライン・オフラインで展開、ユーザーを増やしていきました。
あえて大都市をターゲットに。その波は日本まで。
調査ではTikTokのユーザの85%が「一級および二級都市」在住の「95後」、「90後」そして「ホワイトカラー」であるとのこと。
同APPのライバルと目されているショートムービーAPP「快手」は3級以下の都市をターゲットとして拡大してきましたが、それとはまったく異なるターゲティングです。「快手」は大都市圏の競争が激しいことからターゲットをその周辺に定めましたが、TikTokはそこに飛び込み成功した、ということになります。
大都市圏で成功できた理由としては、都市圏では海外のアーティスト情報も豊富であり、よりオシャレな、そして他とは異なる流行を求めています。さらに若者には「自分たちで流行を作り出そう」という意識も強く、そこにTikTokの持つ「オシャレなイメージ。オシャレなコミカルさ」がマッチした結果と考えられます。
また、中国の大都市圏では同様の理由から「Hip Hop」が人気となっていました。しかし、2018年に入り、このセグメントが政府の規制を受けてしまい、公のメディアからは姿を消してしまっています。こうした音楽のファンが、その欲求の発散の場所としてTikTokを選んでいるという一面もあるようです。
やがて高まる人気によってKOLたちがTikTokに参入、より人気を高め、それが現在に至るまで継続しているというわけです。
しかも、その波はすでに日本にも上陸。多くの若者を巻き込んでおり、本場中国でも驚きと喜びをもって伝えられています。今後、どこまで広がっていくのか注目が集まっています。