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「美人が派手に」だけじゃない!最新KOL事情(2)2017年「グルメ」KOLトップ10!

昨年から中国でのPRで存在感を増しているライブ動画の配信は、ネットでの商品宣伝・販売事業を強力に後押しするようになっています。

この潮流が大きくなった理由の一つに、中国人消費者のメディアに向き合う姿勢が存在します。中国人は一般的にマスメディアの情報を鵜呑みにしない傾向にあります。マスメディアは政府の意向に多分に影響を受けると考えているからです。

そのため、ある消費者が商品の購入を検討する際、それが安全なのかどうか、購入経路はネットでも大丈夫なのかどうか、クチコミで判断することが多く、その情報を日本以上に重視します。

2017スーパーKOLの祭典

さてそんな中国人消費者が参考にする商品情報を発信する、ネット上の情報発信者が KOL(Key Opinion Leader)です。本編では2017年6月16日に上海で開催された「2017超級紅人節」(2017年スーパーKOLの祭典)より、「グルメ」部門のランキングと上位3名を紹介し、ネットで消費者を惹きつけるKOLの「共通点」を探ります。

中国マーケティングには欠かせない、「KOL」ってどんな人?

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▼そのほか2ジャンルのランキングを紹介しています!

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【特集】「美人が派手に」だけじゃない!最新KOL事情(4) 2017年「美容」KOLトップ10!


「2017超級紅人節」(2017年スーパーKOLの祭典)には、100名を超えるKOLが一堂に会しました。主催はWeibo、ランキングはiResearch「2017人気ブロガー生態白書」のデータに基づいています。

※iResearchは上海に本社を置く中国ネット経済研究のトップ機関

当日発表されたランキング結果は、フォロワー数だけでなく、動画データ・ライブ配信データ・検索回数・動画を見たことによる商品の購入数や売上高の変化・広告収入などの総合的な分析によります。

グルメKOLランキング、軍閥割拠の様相を呈するTOP10

それでは「グルメ部門」TOP10です。

1 大胃王密子君
2 美食家大雄
3 中華小鳴仔
4 鍋包肉博士
5 香噴噴的小烤鶏
6 王大厨
7 Amanda的小厨房
8 李子柒
9 野食小哥
10 办公室小野

今回はこのうちTOP3を個別に取り上げたいと思います。

 

中国のギャル曽根、1位「大胃王密子君」

1位の大胃王密子君は、その画面構成からどこか「ギャル曽根」を彷彿とさせる、はつらつとしたかわいらしい90後の女性です。主に微博と美拍で配信しています。

「大胃王密子君」

食の魅せ方は、お店の看板メニューを大量に並べ、どんな風においしいのか軽快なトークを交えながら食べきるスタイルです。火鍋、海鮮、中国のバーガーなど…彼女一人の前においしそうな大量の料理が整えられる様は圧巻です。

店長や店員さんもトークに加わったり、料理やケーキを作っているシーン、画面にポップな文字が浮かびあがるなど、見ていて楽しくなる動画に仕上がっています。ファンのコメントも多く、どれも数千、多いものでは一万を超えていますが、「密子君」はそれぞれに返事を付ける勢いで返信を書き込んでいます。

 

おなかだけでなく知識欲も満たす! 2位「美食家大雄」

「美食家大雄」

2位の美食家大雄は北京に住んでいる80後の男性で、自己紹介欄には「妻と娘のいるパパ」と述べられています。主に微博で配信していますが、動画配信サイトのビリビリにも10万のファンを抱えています。

食材の細かな解説から始まり、コツをレクチャーしながら美食家大雄自身が調理をし、最後に食べ方のレクチャーも含めて作った料理をほおばります。カメラの回し方が巧く、その動画からは香りまで漂ってくるようです。

ファンからは数百のコメントがついていますが、「この料理は甘い味付けじゃないの?」というコメントに「南北で違うみたいですね!」とコメントを返すなど、やはりファンとの交流が活発な様子がうかがえます。

 

海外も制覇、3位「中華小鳴仔」

3位の中華小鳴仔は90後の女性で、微博・秒拍・一直播おいしいお菓子やお菓子屋さんの紹介をしています。

海外旅行も良く行くようで、旅先の食べ物の紹介だけでなく、景色や街並みの紹介も交えてレポートしています。最近ではタイの紹介をしていました。中国人の人気旅行先として長らくトップの座をしめているタイですが、まだまだその魅力を知りたいという消費者の需要が大きいことがわかります。

「中華小鳴仔」

 

プロの技術で魅せながら、交流できる距離感

ざっとTOP3を紹介しましたが、特定の形式で美食を紹介するわけではなく、たくさんの料理を並べ平らげる形式・調理して料理の完成度を魅せる形式・旅先の紹介など様々です。

同じく情報を伝えているKOLの性別や年代、ファッションテイストなどもさまざまですが、「トーク」「カメラワーク」「(海外情報との組み合わせといった)番組構成」は素人が一日二日でまねできるようなものではなく、彼女たちの動画が専門性を有する「作品」であることは容易に想像がつきます。

その一方でファンが気軽に声をかけられるSNSや動画配信サイトというプラットフォームを利用しており、実際にコメント欄で言葉を交わしあうことができることが、視聴者にとって魅力の一つとなっているようです。

グルメ界KOLのこれから ~「ありそうでない」が面白い?

最後に、グルメ分野のライブ動画の再生回数に着目してみます。2016年10月から2017年5月までの約半年間で、この分野でのライブ動画再生回数はなんと3倍にも増加したそうです。

秒拍、一直播といった動画配信のプラットフォームを利用しているKOLは1万人を超えているというデータもありますが、再生回数を稼げるブロガーは代理店によりマネジメントされるケースも増えています。

完成度の高い作品が放映されていますが、KOLの「成長のスピード」は目を見張るものがあります。

例えば、今回10位に食い込んだ办公室小野は今年、2017年に入ってから料理動画をアップし始めたにもかかわらず、半年足らずで動画の再生回数がどの作品でも毎回10万回を超えるようになっています。

「办公室小野」

办公室小野は主に美拍に動画をアップしていますが、大人気なのでバイドゥで名前を検索しても彼女の動画を簡単に見つけることができます。動画配信やSNSプラットフォームだけでなく、検索エンジンですらその存在感を認めずにはいられないということでしょう。

料理動画は新鮮味のあるジャンルということではありませんが、彼女の動画の独自性は、その「調理場」にあります。

彼女の台所は…なんとオフィスの自分の席。もちろんパソコンもあります。彼女のアカウント名「办公室小野」の「办公室」とは、中国語でオフィスのことを意味するのです。

「オフィス小野」は、自作の針金製の台にケーキの箱を載せ、そこに水とサツマイモを入れ、コーヒーカップにアルコールを入れたものを火力に、サツマイモを茹でます。サツマイモをゆで終えると、続いてケーキの箱で白玉粉も蒸し…動画の最後ではなんと月餅が出来上がります。

これを全部、事務机で作業しているのです。同僚は出来上がった頃に彼女に声をかけて、月餅を分けてもらいます。

念のため注釈をつければ、中国のオフィスでもこんなことは普通許されません。「突拍子のなさ」というシチュエーションへの驚きと、限られた器具で出来上がる食品の完成度の高さという「技術」に対する感嘆の気持ちが、フォロワーを惹きつけていることは間違いありません。

 

まとめ

彼女の人気の上昇ぶりからうかがえるのは、視聴者を引き付けるのは「おもしろさ」「驚き」「尊敬」の気持ちを起こさせる要素であり、それらを今一番色濃く配合しているのが現在のグルメ動画なのかもしれないという仮定です。

グルメ動画の視聴回数の急上昇の裏には、「想像もできないことを楽しみたい」という心理が隠れているのではないでしょうか。これからも視聴者や消費者が予想できない、それでいて人の技術の高さがうかがえるコンテンツが燃料となり、このジャンルのファンを拡大していくのかもしれません。

参考:
2017超级红人节获奖名单及相关数据(百度百家号) 中国語

 

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