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中国を数字で見る(2)中国学生の就職事情~新卒の初任給と人気業界ピックアップ

中国の学校では6月が卒業シーズンです。就職活動が本格化するのは9月で、「秋は就職の季節」となっています。本日は「中国の就職活動」にかかわる数字をご紹介します。


▼中国秋冬のイベントカレンダー!

中国イベントカレンダー④10~12月 ~日中共通?女子のハロウィンにカップルのクリスマス~

中国イベントカレンダー①1~3月 ~旧暦に即したイベントは毎年日取りが変わるので注意!~


就職難といわれて久しい中国ですが、実際の就職活動に挑む学生の増加には目をみはるばかりです。

中国の大学の卒業生は2001年114万人だったのに対し、2017年は749万人となんと7にも増加しています。

2013年は「史上最大の就職難」と言われていましたが、2016年にはさらに上をいく「史上最大中の最大の就職難」などと評されました。2018年の卒業見込み人数は中国全土で810万人が予想されており、学生たちの就職難はまだまだ続きそうです。

参考:
大卒でも厳しい就職難 中国で上昇する失業者、966万人で一つのピークに(出典:ZAKZAK)
海外留学しても就職難、初任給は6万円に満たないことも―中国(出典:ライブドアニュース)
1950年から2100年までの世界の人口ピラミッド(出典元:PopulationPyramids.net)
2017年の大学卒業生が増加 過去の統計データも(出典:好課程好課网) 中国語

2018年の中国の卒業生は何人(出典元:百度知道) 中国語

各地で開催される就職説明会

中国でも日本同様各地で就職説明会が開催されます。時期的には、来年度卒業見込みの学生向けの秋季就職説明会が9月頃から各地で続々と行われています。

例えば11月4日に開催された遼寧省の就職説明会には88社の企業が参加しました。

採用職種は1,280種、当日回収された履歴書は310部、現場で採用契約を結んだのが26人という結果でした。製造業新エネルギー産業が今回の採用企業の主体を占め、エンジニア専門技術要員の募集が比較的多く見られたとのことです。

また武漢市では11月12日から「100万人の大学生による中国国内での起業・就業プロジェクト」という名の大型就職採用イベントが開催されました。3万以上の職種、情報技術、インターネット、ビッグデータ、ライフヘルスといった新興産業や各種知名度のある1,268社が参加するこのイベントは、12月まで毎週2回、計20回ほど開催される予定となっています。

海外留学者から人気の●●界

海外の大学や大学院に留学し、その後中国に戻り就職するUターン組を「海帰(ハイグイ)」(※「帰」は「亀」と音が同じ、海外留学をする中国人を海亀になぞらえた表現)と呼びます。中国ではこの海外帰国組を対象とした就職説明会や、海外からの外国人留学生を対象とした就職説明会も開かれています。

「海帰」の人々が就職したい業界はどこなのでしょうか。

2017年5月に海外人材専属発展プラットフォームLockin Chinaが中国職業発展連盟(GUCCU)並びに採用兄弟会とともに合同で発表した2017海外人材就業分析レポート』には「海帰」が希望する業界が調査されています。

これによれば海外帰国組が就職を最も希望している業種は金融業ですが、調査結果からは「海帰」たちの片思いの構図が見て取れます。

海外帰国組を最も求めている業界は製造業で、メーカーの13.6%が海外からの帰国者を採用したいと回答しています。次に材料化学インターネット業種がそれぞれ12.5%、12%となりました。お目当ての金融業界では7.2%の企業が「海帰」を採用したいと考えているようです。

中国では「留学する人の数」が「帰国する人の数」を上回っていましたが、現在は反転し「人材吸収国」となっているようです。中国企業の勢いもうかがえ明るいニュースと見ることもできそうですが、一方で就職競争はさらに熾烈を極めそうです。

参考:
遼寧・江蘇人材交流 秋の大型就職説明会が開幕(出典元:新華網)中国語
武漢で大型学校巡回就職採用イベントが始動 第1回は31662の職種を募集(出典元:新華網)中国語
第4回中国留学人材採用説明会 北京大学にて開催(出典元:新浪教育)中国語
「海帰」採用説明会 人気業種は金融業 留学経験者は孤独に強い点をアピール(出典元:eastday.com)中国語
海外帰国組限定就職説明会 世界中の大学からのラブコール(出典元:TOM news)中国語
中国で第三期留学生「帰国ラッシュ」(出典:レコードチャイナ)

低下を続ける新卒初任給、それでも1万元を超える海亀の給与

GDPも上昇している中国ですが、大卒、大学院卒の社員の初任給はいくらくらいなのでしょうか。

就職サイトの「51jobのHRリサーチセンターが作成した3,124人の有効回答と1727社の有効回答からなる分析レポート(2017年度版、調査期間2017年4月)によると、上海新卒生の初任給の平均は4,951人民元北京は4,816人民元、一線都市とそれ以外の都市では数百元~千元強の差が見られます。

※一線都市とは…北京市、上海市、広州市、深セン市の4都市。経済規模、社会的な影響力を基準として決定されるが学術的な定義はない。

 

一線都市における新卒の平均初任給(単位:人民元)

平均
上海 4,951
北京 4,816
深圳 4,787
広州 4,452

 

一線以外の都市における新卒の平均初任給(単位:人民元)

平均
杭州 4,275
蘇州 3,914
南京 4,043
東莞 3,853
大連 3,286
成都 3,379
武漢 3,257

学生の増加が影響しているのか、大都市でも平均初任給が5,000人民元に届いていません。厳しい受験、学生生活、採用試験をくぐりぬけたのちの中国の若者が、給与の低さを嘆く姿が見えてくるようです。


▼杭州、南京、武漢はどんな都市? こちらから確認できます!

中国・都市解説(1)浙江省(杭州市)~賢く稼ぐ名勝地!大企業の本拠地は、上海に次ぐマーケットになるか?!~

中国・都市解説(5)江蘇省(南京市)~いにしえの首都 江蘇人は日本人のパートナーに最適?~

中国都市解説(6)湖北省(武漢市)~中国の問題を解決する秘蔵っ子「東風汽車」のおひざ元~


ちなみに、前段の海外帰国組である「海亀」は新卒月給1万元から2万元あたりで就業することが多いようです。

国内の大学や大学院を出た場合は、政府公認上位大学の卒業生の初任給が6,000元程度、院卒の会社員の初任給は10,000元程度と言われています。

参考:
中国の大卒の初任給が2年連続減少している理由と今後の傾向について(出典元:知乎) 中国語
2017新卒生についての調査研究レポート(出典元:51job) 中国語

まとめ ~卒業だけでは就職勝ち抜けぬ学生、インターンに活路?

2017年の実質経済成長率は6.8%と一時期に比べれば落ち着いていますが、それでもまだまだ景気の良い中国。しかし新卒社員という目線でとらえれば、大学や院など高等教育機関の卒業者数は年々増加し、「大学卒業」が必ずしも就職活動で有利に働くことはないようです。

留学経験者の帰国も相対的に増加し、「海外留学経験がある」や「英語が話せる」という能力もアピールポイントとしては弱くなっていることも予想されます。

日本と同様「在学中のインターン」が就職に重要と考える学生も多くいるようです。「就職のために有利に働く活動」への関心は就職競争の激化と相まってますます高まるでしょう。

参考:
经历过秋招 过半受访在校生认为实习经历对应聘成功影响大(出典:新浪新聞) 中国語