【特集】国慶節まであと1か月！（４） ～クチコミランキングの変動が予言する、この10月に売れる商品～
国慶節期間のインバウンド中国人旅行客の動向を読む中国SNS「微博」のクチコミ分析、最終編です。今回はランキング順位の変動から、国慶節期間で「売れる商品」を実際の商品名を挙げて予測します！
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国慶節まであと1か月！（１）～2017年「十一」の日本旅行動向を占うユーザー属性を発表～
国慶節まであと1か月！（２） ～アンケート調査で訪日中国人の日程・予算・「モノ」ニーズを的確に把握～
国慶節まであと1か月！（３） ～躍進の美容体験と「新中産層」の訪日を思わせる「走りたい」～
トレンドExpressでは新浪微博を対象に、「日本で買った」「日本で買いたい」を含む、日本関連の書き込みについて、その件数をもとに週次ランキングを作成しています。同時に、この結果をもとに、週次でのランク上昇率※を算出しています。
今回はこのランク上昇率を確認しながら、国慶節にこのランキングで上位に現れそうなアイテムで、今年の4月からの上昇率が高く、かつランキングが継続的に上昇しているものを「国慶節に売れる可能性の高い商品」としてご紹介します。
※ランク上昇率とは
前週からの順位変動が大きい順にランキングします。
ランク上昇率は「(前週順位 – 今週順位)/ 前週順位」です。
ほしいもの1位の化粧品、これから来るのは「ベースメイク」商品
まずは「買いたいランキング」から、上昇傾向のものをピックアップしてみましょう。
まずは「日本で買いたいもの１位」の化粧品カテゴリから、2つご紹介します。
上昇傾向にあり、国慶節に向けてさらに伸びそうなのが「CCクリームエアリーフィニッシュリミテッドキット（リンメル）」と「ソフィーナファインフィットシリーズ（花王）」です。両方ともベースメイクの商品です。
中国の方には基礎化粧品（洗顔料や乳液といったスキンケア商品）が人気となっている一因に、「化粧＝隠すもの」というネガティブなイメージが挙げられます。この影響は残りながらも、今後はこうした「ナチュラルメイク」を実現できるメイクアップ商品が人気となっていくのかもしれません。
この２アイテムは今年の5月あたりからじわじわとランキングを上げ続けていますが、まだ「買った」ランキングには登場していません。国慶節期間に「買った」ランキングに登場するかどうかに注目したいと思います。
ただし、ＣＣクリームエアリーフィニッシュリミテッドキットは生産終了となっているようです。クチコミでは関心が集まっている商品なので、キット（複数のアイテムのセット）はなくとも、ＣＣクリームエアリーフィニッシュ単体の購買につなげるような施策で消費者の需要を取り込みたいところです。
サプリメントが秋の定番に、メガネは今後の注目市場
次に、化粧品以外で気になる商品をご紹介します。
順位をあげているのが、「ＤＨＣメリロート（ＤＨＣ）」とJINSのPCメガネ「JINS SCREEN（JINS）」です。
DHCメリロートをはじめとしたダイエットサプリは、やはり食欲の秋には欠かせないアイテムとなっているのかもしれません。去年の国慶節前には、「満腹30倍（グラフィコ）」がランキングを伸ばしており、「国慶節にはダイエットサプリ」は定番となりつつあるのかもしれません。
JINSのPCメガネは7月頭には上昇が緩くなっていますが、30位～40位あたりをキープしており、国慶節に向けて良い位置をキープしています。
JINSは中国のSNSで動画の公開を行っていました。作品は眼鏡に主眼を置いたものではなく、中国人の店員の一日をレポートするような内容でしたが、この動画は拡散され出演の店員本人に会いに来る旅行者も現れたそうです。「広告色のなさ」「純粋に楽しめるコンテンツ」「眼鏡に対する需要」の三点がシナジーとなり、奏功した例と言えそうです。
▼眼鏡関連製品のランキング順位変動についてご紹介しています。
【週次ランキング解説】2017年8月2日～8月8日 日本で「買った」ランキング
▼SNS、KOL施策で気を付けるべきポイントをまとめています
【セミナーレポート】国慶節需要を逃さない！（４）KOL施策では3つの落とし穴に注意
乳幼児アイテムの「買った」のうしろにはこんな習慣
買ったランキングでも、まずはコスメ・化粧品カテゴリから見ていきたいと思います。
この春から上昇傾向にあるのが、「キッカメスメリックリップスティック（カネボウ化粧品）」です。
4月から上昇を続けており、時折ランキングを落としながらも8月に入ってまた上昇の兆しを見せています。8月現在で17位と良い位置につけています。
化粧品以外で注目なのが、足裏・かかとの角質ケア商品である「ベビーフットイージーパック（リベルタ）」です。
こちらも春から順調に順位を伸ばしています。8月に入ってから安定してきていますが、国慶節に向けてどう動くか、要注目です。
足裏・かかとの角質ケア商品は、数年前日本でも流行し、その後定番となっているようです。「素の美しさ」を追求したい中国の方にとって、この商品も定番となっていくかもしれません。
▼中国人消費者が美容アイテムを購入する際の基本心理も解説、人気商品を紹介
【特集】中国美容事情（２） ～年代別クチコミランキングで年齢とともに変わる肌質も見える？～
続いて「日本で一番買いたいもの」3位となったベビー用品に注目してみましょう。
ランキングを順調に伸ばしているのが、乳児の湿疹やおむつかぶれ・あせも用のぬり薬である「ポリベビー（佐藤製薬）」とおむつの「moony（ユニ・チャーム）」です。
「ポリベビー（佐藤製薬）」はおむつかぶれ（おむつの中で湿気がたまり、肌に刺激を与え、荒れること）の治療薬です。中国では日本に比べ、乳幼児のおむつを替える頻度が低い人も存在し、そういった方が抱く悩みを解消してくれるアイテムとなっていると予想されます。
3つのランキングを制覇する〇〇カバー！
最後にご紹介するのは、「買った」「買いたい」「ECサイト人気商品」3つのランキングに入っている「女の欲望 COOL＆UVアームカバー」です。
ランキング順位の変動を見ると、ECサイトでの人気とインバウンドでの人気がお互いに好影響を与えていることが見て取れます。
6月からの3か月は安定的に推移しており、このまま国慶節までよい順位をキープする可能性もあります。プロモーションによっては、インバウンドとECサイト、両方を盛り上げていける可能性もあるということが言えます。
まとめ
以上、全4回にわたり今年の国慶節期間の傾向をクチコミ、アンケートから予測しました。
クチコミ投稿のユーザー属性分析や「買いたいもの」の調査では若年化とそれに伴う日本の「ファッション」への関心が見て取れました。また「長期滞在」の旅行者の需要を取り込めていない可能性や、「体験」に関する調査では予算に応じた消費需要の喚起が十分でないこともうかがえました。
また男女別の需要の違いを踏まえた旅行商品の開発に役立つような、国慶節はもちろんその後にも生かせる情報があったのではないでしょうか。
本編で紹介したランキング順位は、ある商品が売れていることを読み取るだけでなく、いつから注目を集めていたのかを知る材料になります。
売れる商品を先読みするには、クチコミの件数、順位変動を把握し続けることに加え、「なぜ売れるのか」「なぜ人気となっているのか」といった「売れる」という事実の背景にある消費者の習慣や、そんな習慣を生み出す消費者がおかれている環境について、常にアンテナを立てていることも重要になってきます。
トレンドExpressではクチコミデータに基づいた分析、そして中国人消費者のリアルな生活をイメージできるような記事を多数公開しています。ぜひ定期的にご確認ください。
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